『水族館プロデューサー・中村元 presents 中村元の超水族館ナイト2017春 〜日本の世界観を誇れ!〜(vol.26)』 ライブレポート(17.02/05開催)/ カルカルで「ビハインド・ザ・コーヴ」上映会決定!

1-4.日本の水族館は欧米の水族館を真似るな

日本の水族館や動物園、博物館、美術館等は 「依然として欧米至上主義に支配されている」 と中村さんは苦言を呈します。

中村さん
「アメリカで水族館でイルカを飼い始めてショーを始めたら、 『ああ、それええやん』 と日本でもイルカショー始めて、今度はアメリカがイルカやシャチを飼うべきではないと言い出したら 『日本でもそうするべきではないか』 とか言い出す。何を真似事ばっかりしとんねん! 」

単に真似を する・しない の問題ではなく、水族館は自然を語る場所です。であるならば、その時に大切にしなければならないのは、生き物や自然に対する考え方(世界観)であることは明らか。全ての命を対等だと捉えている日本の水族館が、欧米の水族館を真似てしまうと、本当にただ生物学の情報を羅列するだけの施設に成り下がってしまうのだそうです。

テリーP
「じゃあ、日本の水族館の現状は…」

中村さん
「学問ばっかりや! 欧米の真似事ばっかりしているからな。魚類学だの生物学だの、魚の名前だとか、似た魚の見分け方とか、そんなことはどうでもいいんですわ! 」

テリーP
「いや、でも、それが好きな人もいっぱいいますよ? 」

中村さん
「もちろんおるよ。だからそれもあってもいい。だけれども、多くの人にとっては、日頃 ”命を頂いている” 魚が海の中でどんなふうに生きているのとか、この魚とこの魚ではどちらが美味しいかとか、更にはどんなふうにして海はあるのでしょう?、海と私たちはどのように関わっているのでしょう? といった、身近にある疑問や好奇心、生活に関わることの方がずっと大事だと思いませんか? 」

それを展示で見せ、発信していくのが水族館の役割である…と。

 

欧米の水族館の真似事ではダメだと中村さん欧米の水族館を真似してはいけない理由とは

 

1-5.日本人は日本神話に学ぼう

地球の自然環境が急速に壊れ始めた頃、欧米の環境学者たちはこれをコントロールしようとCO削減などを謳っていました。しかし、近年、もはやそれだけではコントロールが不可能であることを悟った学者たちは、盛んに「ネイティブアメリカンに学べ!」 と言い始めました。即ち 地球は子孫から借りているものである  という考え方。子孫に自然豊かなままの地球を返すために、改めて今の生活を見つめ直しそうという趣旨です。

中村さん
「そうしたら日本の環境学者までもがまた真似をして 『ネイティブ・アメリカンに学べ』 と言い出したんです。いや、日本人は日本の神話に学んだ方が早いやろと! 僕はそう思うんです。一神教の人達は 『神よ、今日の糧に感謝します』 と言います。でも、日本人は神さまに祈るのではなくて食させてくれる命に感謝します。」

中村さん
「そこから派生して、作ってくれたお母さんにいただきます、お百姓さんにいただきます、魚の命にいただきます、鶏の命にいただきます…。自分たちのものでも神さまのものでもなくってみんなで分かち合って生きている。ものを粗末にしてはいけない。もったいない。…それが日本人なのだから。」

最近、その日本の心が薄れてきたと言われますが、そのDNAには古来から受け継がれた世界観がしっかりと残っています。「それに気づかせてあげるほうがよっぽど手っ取り早くて効果的」 と中村さん

 

1-6.究極の ”物の怪” 水族館・SEABONZE !?

水族館の展示で日本の世界観を伝える方法は様々あると思うのですが、中村さんは誰にでも分かりやすく 且つ アプローチしやすい一つの方法として日本神話物の怪話を挙げてくれました。実はそんなコンセプトが詰まった日本の世界観をバンバン発信できる 究極の ”物の怪” 水族館 が計画されていたのだそうです。

2015年に仙台に新しい水族館が出来ましたが、一番最初の計画段階では、中村さんとマリンピア松島水族館(2015年5月閉館)の西條社長 がタッグを組み、水槽の中に物の怪や妖怪が見えるような水族館を作ろうとしていたのだとか。

中村さん
「名前も考えてあったんや。シーボウズ。ええやろ! 」

客席
「シーボウズ!!!! 」

中村さん
海坊主のことね。海坊主の妖怪というのは東北三陸では強いんです。なぜなら夜の海に小さい海坊主がいっぱい現れるから。正体はおそらくアザラシかアシカ。ポコンと顔を出して目がギラッと光る。昔の人はその得体の知れない妖怪を海坊主と呼び、それが大きくなると津波になって、人の命や財産を奪っていくと考えていたのね。」

水族館 「シーボウズ」 では色々な妖怪や物の怪が見える水槽展示を考えていたそうで、例えば、カッパ伝説が数多く残る岩手県遠野市のカッパ淵の光景を再現した展示などを提案。遠野市の市長に許可まで取りに行っていたことも明かしてくれました。河童の正体はカワウソだと言われていますが、「コツメカワウソでは河童に見えへんから、ニホンカワウソと同じくらい大きなカワウソを入れようと考えていた」と当時の構想を明かす中村さん。

残念ながらその計画は途中で立ち消えとなり、実現には至りませんでしたが、日本各地の水族館に ”日本の世界観を発信する展示” が増え、日本人が水族館で日本人の世界観を再認識できるようになっていけば、水族館の未来は明るいかもしれません。そのためにも 「シーボウズ」、ぜひどこかで実現を!

※ 2014年にマリンピア松島水族館で開催された『中村元の超水族館ナイト出張篇』にもご出演頂いたマリンピア松島水族館・西條直彦 元社長ですが、3月4日に逝去されました。この場を借りて謹んで哀悼の意を表します。

 


 

特別メニュー紹介

第二部のレポートの前に、今回のイベント限定メニューを紹介。渋谷でももちろんあります、超水族館ナイト特別メニュー!  一番人気はやはり超水族館カクテル。涼しげなブルーとトロピカルな味が特徴です。

スモークサーモンとタコのカルパッチョ
超水族館カクテル(マリブ+パインジュース+ブルーキュラソー)超水族館ナイト26特別メニュー

あんこうの唐揚げ ジュレポン酢添え超水族館ナイト26特別メニュー2

 

さあ、いよいよ後半、八木監督の登場です!