ネットとリアルをつなぐソーシャル飲食店

渋谷でお酒とクラシックと夜桜を楽しむ春の夜。 『渋谷系クラシック~“カルカルカルテット”生演奏と花見酒 』 supported by いいちこ (17.03/24開催)

2017年05月09日

F.J.ハイドン
弦楽四重奏曲第38番 「冗談」 4楽章

ここからはカルテットの二大巨頭、ハイドンとモーツァルトについて…。

ハイドンは有力貴族エステルハージ家の宮廷音楽家として公爵家に30年間に渡り仕えます。その雇用形態は今で言うサラリーマンのようなもの。エステルハージ家では週に1回、演奏会を開催していましたが、お客さんはその地域に住んでいる王族や、お城で働いている人たち等、ほぼ固定された顔ぶれ。

藤田さん
「来ているお客さんはハイドンの人柄も音楽も良く知るお客さんばかり。だんだんパターンが読まれてきて 『このあと、ああなって、こうなるんでしょ?』 みたいに思われてしまうんですね。そんな環境で毎週曲を書き続けてなければならない…。さて、どうなると思いますか?」

藤田さん
「意表を突いていくんですね。そうしないとお客さんに飽きられてしまい聞いてもらえない。ハイドンの作品は意外性やひねりを帯びてくるように進化していきました。」

一方、モーツァルトは晩年のハイドンとも交流があり、非常にハイドンを慕っていましたが、音楽家としてはフリーの立場。宮廷に仕えて安定的な収入があったハイドンとは違い、常に仕事とお客さんを求めて営業活動をする必要がありました。

藤田さん
「モーツァルトは常に新しいお客さんの前で新しい曲を演奏しなければならないので、絶対に外せないワケです。だからお決まりのパターンというのを持っていて、意表を突いたり、ちょっと変わった実験的なことをやってみたりといったことは出来ませんでした。本人も 『アーティストではなく商売人になれというのか!』 と悩んでいたようです。」

これを頭の片隅に置いてハイドンとモーツァルトの曲を聴き比べてみると、 「ああ、なるほど!」 と納得してしまいます。ハイドンの弦楽四重奏 「冗談」 は、まさに ”意表を突く” その一例で、ユーモアのある終わり方が特徴です。

 

弦楽四重奏の歴史~ハイドンとモーツァルトを語る
ハイドンとモーツアルトについてトークする藤田さん

 

ところで、資料のプリントにはエステルハージ家の楽団の労働契約書や楽団員の給与一覧表も添付されていました。ホルンの人の給与が高いのが面白い。

藤田さん
「ホルンはもともとは角笛であった楽器なので、羊追ったり、狩り合図に吹いたり、楽団以外の仕事もあったんです。だから給料が高い。ホルンが吹ける人はとりあえずホルン奏者として契約して、実際には他の楽器を兼務していましたんですね。」

なお、資料によれば、楽団長・ハイドンの給料は約50万円。その他、現物支給として、薪、バター、蝋燭、ワイン(60L/年)…等々。

 

エステルハージの給与一覧と労働契約
配布資料より

 

W.A.モーツァルト
弦楽四重奏曲 14番 「春」 1楽章

長谷川さん
「モーツァルトはハイドンはとても尊敬しておりまして、ハイドンのために弦楽四重奏曲を6曲書いております。その中の第一曲になります。副題で「春」とついていますので、この日に選曲させていただきました。」

 

モーツァルトの曲解説をする長谷川さん
長谷川さんによる曲解説

 

小澤さんと長谷川さんの演奏
小澤さんと長谷川さん

 

モーツァルトの曲はハイドンの曲とは全く作りが異なり、曲の中に繰り返しが多い。

藤田さん
「またキター!という感じですよね?(笑)」

ハイドンとモーツァルトは年齢が20歳ちょっと離れていますが、20年の音楽的時代背景の差というよりは、やはり先に説明のあった 「サラリーマンか? 個人事業主か?」 によってこの差が生まれているのでしょう。

配布資料の巻末にはハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの自筆譜も。

藤田さん
「ベートーヴェンは出版社によって全然楽譜が違うんです。その理由は自筆譜を見ればわかりますね? そう、楽譜通りに掲載しようにも、そもそも楽譜とはなんぞや?…という。(笑)」

 

モーツァルトの自筆譜
モーツアルトの自筆譜

 

ベートヴェンの自筆譜。確かに解読が…(汗)
ベートーヴェンの自筆譜

 

T.O
「snow stamp」 カルカルカルテットオリジナル曲

カルカルカルテットのために新しく曲を作ってくれたのは、NACK5の番組「NO.16」でパーソナリティを務める等、D.Jやプロデューサーとして活躍している T.O さん。清流のような自然の透き通ったイメージを弦楽器で表現した曲で、ピュアな調で作られています。

 


 

アンコール

 

ソプラノ歌手の勝山藍さんがステージへ。

勝山さんは今回のコンサートのプロデュース・宣伝活動を行ってきた ”影のMVP” 的存在でもあります。そんな勝山さんがカルカルカルテットをバックに、心を打つ美しい歌声を披露してくれました。客席もまるで時間が止まったかのよう…。

そして、鳴りやまない拍手に 「予定外でしたが楽屋で緊急の打ち合わせをして(藤田さん)」 急遽、Wアンコール! カルカルカルテットが星野源の「恋」を再度演奏。これ以上ない感動の大拍手に包まれてカルカル初のクラシックコンサートは幕を閉じました。素晴らしかった!

 

ソプラノ歌手・勝山藍さん
勝山藍さん

 

感動の共演!
勝山藍さん&カルカルカルテット

 

 【第1部】

M01:  A.ヴィヴァルディ 「四季」 より 「春」
M02: P.I.チャイコフスキー 「くるみ割人形」より「花のワルツ」
M03: いきものがかり 「ラストシーン」 映画 『四月は君の嘘』 主題歌
M04: 星野源 「恋」 TBS系ドラマ 『逃げるは恥だが役に立つ』 主題歌
M05: V.モンティ ハンガリー民謡 「チャルダッシュ ~酒場風~ 」
M06: E.モリコーネ ニュー・シネマパラダイス~愛のテーマ

【第二部】

M07: W.A.モーツァルト 「アイネクライネナハトムジーク~とある夜の音楽~ 」
M08: P.マスカーニ オペラ 「カヴァレリア・ルスティカーナ」 より 「間奏曲」
M09: F.J.ハイドン 弦楽四重奏曲 第38番 「冗談」 4楽章
M10: W.A.モーツァルト 弦楽四重奏曲 14番 「春」 1楽章
M11: T.O 「snow stamp」 カルカルカルテットオリジナル曲

E01: 勝山藍&カルカルカルテット スペシャルコラボレーション
E02: 星野源 「恋」 TBS系ドラマ 『逃げるは恥だが役に立つ』 主題歌

 


 

まとめ

 
「渋谷系クラシック」と銘打って開催されたカルカル初の試み・クラシックコンサートは、大盛況&大成功となりました。天井が高く、ステージサイドに壁がある渋谷カルカル。決して音楽のために作られたスペースではないのですが、演奏してみたら ”奇跡の音響” ともいえる素晴らしい音! クラシックの生演奏を最高に楽しめました。カルカルらしさも漂っていて、カルカルならではコンサートになっていたと思います。

今回は実験的な要素もあったと思うのですが、クラシックコンサートもイケる東京カルチャーカルチャー! 次なる渋谷系クラシックにも期待が高まります。

ところで、サブタイトルに 「生演奏と花見酒」 とあったのですが、お天道様が決めることですので、なかなか予報通りには行かず、窓の外の宮下公園の桜は全く開花してませんでした(苦笑)。でも、お客さんの笑顔が超・満開になった、そんな一夜でした。

 

(ライター・GAMA)

 

ぜひ、定期開催を!
藤田さんとカルカルカルテットの皆さん