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水族館プロデューサー・中村元 presents 『中村元の超水族館ナイト2017夏 〜最新水塊のレシピ〜(vol.27)』ライブレポート(17.06/18開催)

2017年09月14日

【 最新水塊メイキング 】

 

1.展示イメージを作る

中村さんの水族館作りは 「お客さんにこんな光景をお客さんに見せたい!」 といったものを紙に書き出すところから始まります。言葉だけでなくイメージが重要。絵を描いて、イメージに合った写真も用意する。この作業を通して、どのような展示を作るのかを明確にしていきます。

 

作りたい展示イメージを描き出す
(うねる渓流の目標イメージ)

展示の設計1

 

こちらはラグーン水槽の目標イメージ
展示の設計2

 

中村さん
「それができたら今度はその絵を元にパース屋に指示を出して、パースを作ります。」

 

パースが完成!
パース

 

2.簡易実験

展示のイメージが出来上がったら、それを具体的にどうやって実現していくかを考えるプロセスへ。論理的に手段を考え、案を練っていきます。それがある程度、洗練されてきたら、手も動かしていく…。

中村さん
「実験を行って一つ一つ検証していきます。」

激しい水の流れをハイドロウィザードという起流ポンプを使って再現しようと考えた中村さん。まずは自身が所有する2台の小型のハイドロウィザードを用いて原理検証を行います。下の写真のスライドはマリホ水族館の 「うねる渓流」 を設計する過程で行った簡易実験の構想図。

 

うねる渓流の原理実験の検討
簡易実験

 

お客さん側(見学通路側)に ”うねる水の流れ” を作り、同時に裏側から越流させて水を勢いよく循環させる。そんなことが本当に可能なのかどうかを確かめていく…。

 

実際の簡易実験の様子
簡易実験2

 

3.実証実験

原理検証ができたら今度は実際の展示のスケールでの実験へ。中村さん曰く「スケールが大きくなれば動きもまた異なってくるので、なかなか思い通りにはいかない」。複数の原理を組み合わせる等、トライ&エラーを繰り返しながら、最適な実現方法を探っていくそうです。

 

実際の展示スケールでの実験計画
実験計画

 

実験の様子
実験をしながら調整していく

 

中村さんの斬新なアイデアは、しばしば 中村マジック と呼ばれています。私も先ほど中村さんのことを ”水塊の魔術師” と書きましたが、パッと見は魔術のように見えるアッと驚く展示技法も、実はこのような地道な実験と検証を積み重ねて辿り着いた最適解なのだと言えます。

中村さん
「いろんな人に『そんなことよく簡単に思いつきますね』みたいなことを頻繁に言われるんやけど、全然簡単ちゃうで! 」

 

リーフに打ち寄せる波の実験の様子
波の実験

 

4.照明と発色の確認

中村さんは、照明の色・壁の色・擬岩の色・砂の色などについても細かく実験を行って調整しているそうです。水槽内に意図した色やグラデーションをつけることによって奥行きを感じさせたり、色は展示を作る上で非常に重要なファクターと言えます。

 

まず、色見本のタブレットを用意して…
バックスクリーンの選定

 

それを水槽に入れて発色を確認
照明との組み合わせをテスト

 

照明の下で魚がどのように見えるかも重要。中村さんはドライバーや色数の多い空き缶などを水槽に沈めて、それをカラフルな魚に見立て、その見栄えを検証していると明かしてくれました。

 

中村式発色確認法
発色を確認

 

ちなみにクラゲの場合はペットボトル(クラゲの笠)にビニール紐(触手)をつけて水槽に沈め、横から照明を当てたりして発色を見るそうです。

マリホ水族館はスタッフがゼロの状態からスタートしたため、中村さん自らこれらの実験も行ってきたそうですが、既存の水族館の展示リニューアルを行う場合などは、飼育スタッフに実験を担当してもらったり、絵をだけではなく、実際の展示水槽の 模型 まで作らせて、それを元に議論を重ねていくのだそうです。

中村さん
「模型を作ってみると、ここはこうした方がいい、ここはダメだから考え直そう…等々、色々と気づくことができる。」

これが中村元式水塊開発。