ネットとリアルをつなぐソーシャル飲食店

平均視力は0.1、WEBエンジニアが見据える世界!「Web2.0 中の人ナイト」ライブレポート(2009.3.29開催)

2009年04月13日

「ネットとリアルをつなぐ次世代イベントハウス」として、
数多くの悪だくみを仕切ってきた我らが東京カルチャーカルチャー。

そして、「いずれにせよITで世界制服」をスローガンに活動する
コアな技術者集団、日本野望の会。

今回はその両者がタッグを組み、
「web2.0中の人ナイト」と銘打って、
国内最大手クラスのウェブサイトから
エンジニアをかき集めてきました。

まずは、集まって頂きました豪華ゲスト陣の関わる
サービスのご紹介から参りましょう。

SNSからは皆様ご存じの「mixi」、そして、
モバイルゲームメーカーとしても業界を
リードし続けている「GREE」

ポータルサイトからは「Yahoo!」「楽天」「@nifty」といった
ビッグネームが参戦を果たし

他にも「30代主婦の4人に一人が使う生活インフラ」としての
呼び声も高い、日本の食卓事情を裏から支える主婦の友「クックパッド」

そして、色々あったけどやっぱり内外から
高い評価を集めている技術屋集団「livedoor」

以上の顔ぶれが一同に介し、「web2.0」をメインテーマに
「日頃の悪ふざけ」から「その場の思いつき」まで、
余すことなく喋り倒すというこのイベント。

会場はもちろん満員御礼。

今回は、初回にして大成功を収める事となった
「エンジニアの、エンジニアによる、エンジニアの為の
エンターテインメント」をお届けいたします。

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若手エンジニア、お台場に大集結!

「WEB2.0」って…なんすか?

ソフトウェアのバージョンを表すためにくっついている、
この「2.0」という数字。

「2.0」という事は、当然ながら「1.0」もあったわけですよね。
じゃあ、「1.0」と「2.0」って具体的に何が違うんでしょうか?

「1.0というのは、大きな企業が作っていた
 従来の大きなサービスの事を指します。
 これに対し2.0は、個人が発信できるweb。
 つまり、大きなサービスを模範として、
 より個人的趣向に基づいて行われる
 情報発信の事を表しています」(グリー:阿部)

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グリー・阿部さん。キレモノクールガイ。

「弊社の媒体を利用しているユーザーは、
 料理をする主婦の方々がほとんどです。
 例えば自分の母親を思い浮かべてみて下さい。
 何十万人、何百万人という人が目にするレシピを、
 あなたの母親が自分で作って、webに公開する
 時代が今なんです。情報は誰にでも発信する事ができる。
 つまり、これこそがweb2.0なんじゃないでしょうか」(クックパッド:根岸)

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クックパッド・根岸さん。「弊社には可愛い女性社員が多いです」とも。

SNSやブログのアカウントに始まり、
個人が運営するサイトなどを含めれば、
その大きさは恐らく星の数にも匹敵する。

目的の有無に関わらず、これほどの情報が
日夜更新され続けるwebという世界。
その裏側を支えるエンジニアにとって、
2.0がもたらしたものとは一体何だったのか?
カルカルのプロデューサーであるテリー植田の一言によって、
web2.0の功罪が徐々にその姿を現し始めました。

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エンジニアが一同に介しパネルトーク

「web2.0ってもう使わない言葉になっちゃいましたけど…。
 他にもね、例えば『出会い系』だとか、あとは『オフ会』だとか…。
 技術はどんどん発達していくのに、ここ10年くらいずっと、
 言葉が古いじゃないですか。それに変わるネーミングを
 作っていけば、もっと文化って変わって行くと思うんですけども…、
 僕らの世代ってあんまり言葉を作る人がいないんですよね」(テリー植田)

さらに議論は進み、テリー植田は、こう続けます。

「『出会い系』ってすごくデリケートな言葉だとは思うんだけど…。
 ネットを使って出会うこと自体が悪いのかどうか。
 実際のところ、これは誰にも分からないよね。
 新しい出会いが生まれる可能性を孕んでいることは
 否定出来ないわけだし。
 だから、あくまでネットはヴァーチャルな世界であって、
 『そこで繋がりあう事が悪だ』という価値観も含めて、
 いずれは埋めていかなくちゃいけないと思います」(テリー植田)

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テリー植田と、ミクシィ天谷さん。天谷さんは元ラジオパーソナリティ。

「以前手がけていたもので、mixiモバイルで動画を見れるような
 サービスを作ったんですが、リリースした直後にユーザーさんから
 『毎日の通勤時間が変わった』という声を頂きました。
 それまでは、ヘッドホンをして下を向きながら過ごしていた時間が、
 面白い動画をチェックする楽しい時間に生まれ変わったという
 話だったんです。

 他にもmixi Radioをリリースした際に
 『部屋で付けっぱなしにして使っている』という
 ユーザーさんですとか…。これって、僕らが作ったサービス、
 あるいはデータというものに影響されて、誰かの暮らし方が
 少しずつ変わっていくという事だと思うんです」(ミクシィ:天谷)

例えばメディアというものが、
世の中の「善」みたいなものにだけ純粋に作用するなんて
事はあり得ない。テレビも、ラジオも、そして雑誌や新聞も。

世の中にある全ての感情に、
例外なく作用するからこそメディアなのであり、
だからこそ責任を求められるのである。

いま、webというものを取り巻く環境は、
決して楽観的な目線で溢れてはいるわけではない。
フィルタリングを中心とした法整備や、
ネットを利用した犯罪が取り上げられている中で、
ネガティブな側面を炙り出している真っ最中であり、
エンジニアだけでなく私たちユーザーも、
同様にそのふるいに掛けられている。

しかしながら、「善」みたいなものにだけ作用する
メディアが存在しない以上、「悪」というものは絶対に存在する。

この相反する二つの事象が共存する最もポピュラーな成功例、
これこそが「リアルな世界」であり、この「リアルな世界」を
補うようにして急速にその需要を伸ばし、私たちの生活を
より便利に、より面白く変えていこうとするものが
webという「ヴァーチャルな世界」なのかもしれない。

「webって常に進化して行くものだと思うんです。
 だから、個人的には『2.0』も『3.0』も無くて、
 webの進化によってみんなの生活が豊かになって行くこと。
 これが大事なことなんだと思います」(ミクシィ:井上)

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Webの未来について熱弁する、ミクシィ井上さん。その界隈では有名人。

100%の合理性、20%の無駄遣い

では、私たちの「リアルな世界」をより便利に、
より面白く変えていこうとする「ヴァーチャルな世界」は、
どのようにして作られているのでしょうか?
話は新しいコンテンツを生み出すためのノウハウや、
各社の制作体制のあり方にも及びました。
 
「弊社には『作っちゃいましたメソッド』というのがありまして、
 開発スタッフが特に仕事で振られていないものを
 趣味で勝手に作った場合、結構な割合で採用されたりします。
 100%仕事したら、プラス20%は好きな事しても良いという事で、
 『120%ルール』って呼んだりもするんですけどね」(ライブドア:佐孝)

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語学専攻から技術者になったライブドア・佐孝さん。

・120%ルール
・ODF(One Day Free)
・7:2:1ルール
・ハックデイ
・80%ルール

会社によって呼び名こそ違いますが、
これらは全て、通常業務とは別に
「自分たちが作りたいものを作る時間」を表しています。

「基本的には何を作っても良いんです。
 純粋な営利目的でもないので成果は関係なくて、
 出来たものの中から芽になるようなものが生まれてくれば…、
 という実験のみたいな感じですね」(楽天:岩淵)

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当日楽屋で「楽天2.0」シャツを仕込んだ熱血漢、楽天・岩淵さん。

・入れ立てのコーヒーを飲むために、コーヒーの出来上がりを
 チャットシステムに通知してくれるオンラインコーヒーメーカー
 「萌香(モカ)」。by ミクシィ:井上

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「当然擬人化設定アリ、ドジっこです」と萌香の説明をする井上さん。
萌香の詳しい説明はこちらです。http://alpha.mixi.co.jp/?p=386

・iPhoneのカメラ機能を使って英字などを画面上に写し取り、
 文字だけを指で指定すると、その単語をYahoo!で
 検索してくれるという「翻訳ルーペ」。by ヤフー:吉田

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ヤフーの地図サービスを手がてけるという吉田さん。

・目標達成までの道のりを項目別に設定して、
 社内でも実用化されたという「チェックリスト」by ニフティ 森藤

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ホームのニフティ代表、森藤さん。一児の父。阪神ファン。

その他にも、ヘルメットにカメラとGPSを取り付けた
「ストリートビュー男」など、ユニークなコンテンツがたくさん登場いたしました。

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グーグルストリートビュー男ことミクシィ井上さん。実用化への壁は険しそう。

中でも極めつけは…

ヤフーは吉田一星さん制作
「iPhoneの画面上でカメハメ波が撃てる」というアプリ。

なんと、このコンテンツはアップルストアで
12万ダウンロード以上を叩きだし、堂々の第一位に輝いたという代物。

「Yahoo!のトップコンテンツを超えちゃいましたからね~」(ヤフー:吉田)

と、笑いながら話す吉田さんが次に目をつけているのは、
「スカウター」のアプリ化だそうです。

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カメハメハの次は、スカウター。実用化間近!?

娯楽の構造

利益を生むか分からない。

けれども自分が欲しいもの、本当に好きなものを作る時間。

必要な業務を100%こなした上で、この20%の無駄を
捻出するという事は、紛れもなく現在のwebを支えている一因である。

メディア全般が不況を訴えるなか、
webというメディアが輝きを失わない理由がここにあるのだろう。

広告収入の激減により、
他のメディアから「何を作って良いのか分からない」という声を
よく耳にするようになった。

プレビューという情報を整理することで
「誰が、何時、何処で、どのようにして」というデータを弾き出し、
非常に合理的な方向性を求めて作られる「使いやすさ」と
100%の「サービス」。この2つのメインラインの上に、
非合理で馬鹿馬鹿しい、面白さだけを追求した20%を、
常に動かし続ける事。

Webというメディアは、この二つのファクターを
見事に実現しているからこそ、他のメディアの追随を許さない。

今回出演していただいた20代のエンジニアは、
例外なくみんな目が悪い。

しかし、平均視力0.1の彼らが見据える先にこそ、
ネットはどこまでも広がっている。

そんなことを考えながら、ありったけの不安と期待に包まれて、
死ぬほど笑わせてもらった夜でした。

第2回に、乞うご期待!

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打上げでは、既に「第2回はいつだ!?」という話題に。
次回の「中の人ナイト」も是非ご期待ください。

(淺沼匡/ライター)

※追記※

各社のエンジニアブログでも当イベントが紹介されています。
よろしければ是非ごらんください。随時追加していきます。

http://searchblog.yahoo.co.jp/2009/04/web20.html (Yahoo!検索スタッフブログ)
http://techblog.yahoo.co.jp/cat206/web20/ (Yahoo!JAPAN Tech Blog)
http://alpha.mixi.co.jp/?p=594 (mixi Engineer’s Blog)
http://niftyjinji.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/web20-d27c.html (ニフティ採用情報ブログ)