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バカとアプリは使いよう!コレは期待に応えない!第2回バカアプリ選手権ライブレポート!!(2009.7.4開催)。

2009年08月14日

マニュフェストなき選挙戦!!

「バカ」という定義は非常に難しい。

冒頭で主催者である河内女史が返答に困ったように、
「バカって何ですか?」という質問に、どれだけの人間が
自分なりの答えを持っているのだろうか?

まぁ、持っている必要は全くない。
しかし、呼吸をするのに誰かの許可が要らない様に、
バカである事は誰にも止められない。

という事は、どんな時代が来ようとも、例え戦時下であったとしても、
バカは絶対数生息する可能性を孕んでいると言える。

で、幸運にも同じ時代に生きている、
バカによるバカなアプリを集めて選手権でもしようじゃないかという
趣旨でございます。

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本来ならば、「どんなアプリが登場して、どれがグランプリを取ったのか?」という
骨子で話が進んでいくわけですが、「バカの定義は人によって違う」という
セオリーに敬意を払いまして、今回のライブレポートは、私なりの
バカの定義「期待に応えない」という基準にそって裏グランプリ形式で行います。

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「私はこれを実現する」という公約やプレゼンテーションに対して、
投票とはそれを支持する形で行われるものですが、
「期待に応えない」という選考基準の設定により、この図式は意味を失います。

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何しろ公約を守ってしまっては、期待に応えてしまうわけですから選ばれません。
この公約が効果を生まない実に稀な選挙戦を勝ち抜き、
見事栄冠を勝ち取るのはどのアプリなのか?

それでは、その戦いぶりをお楽しみください。

1「Rock’n Office」(紫熊「シグマ」)

パソコン+電子楽器(エレキギター、シンセサイザー等)という、
一見するとありがちな組み合わせではあるけれど、
このアプリケーションの目的は音源のサンプリングやアレンジではない。

「タイピングの代わりに楽器を弾く」というコンセプトに元づいて、
上下左右キーはおろか「back」や「windows」などの特殊キーにも対応し、
ワードやエクセル、つまりは「Officeにまつわるタイピングの一切を楽器で賄える」
という恐るべき完成度とは裏腹に、10行程度のメール作成から叩き出した
作業効率は、PCと比較すると約30倍。この見事なまでの生産性の崩壊は、
是非とも高く評価させて頂きたい。

「音楽で飯を喰う=プロのミュージシャンになる」という、
ある種の様式美とも言える伝統的なセオリーに対して、
「楽器で文字が打てればオフィスでの仕事もこなせるし、
つまりは音楽で飯が喰えるって事じゃないか?」
という
小石をぶつける事で半回転。

そして、完全に期待を裏切る形で
生産性の崩壊を招いた事で更にもう半回転。

結果として、1回転したにも関わらず目的から遠ざかっているわけだから、
「でんぐり返し」という構図に乗っ取ってはいるが
「きちんと立ち上がれなかったから着地失敗」

しかも、あらゆるロックが商業的な成功をゴールとして完結する現在、
「これほど弱々しく、非生産的なロックはどこにも存在しない」という
意味において、これはかなりハイレベルなコンテンツと言える。

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2「Form B」(わんぱく+リクルート・メディアテクノロジーラボ)

みなさまご存じのアルバイト情報誌「From A」を母体とするインターフェイス。

「バイトって、やりたい事がはっきりしている人にとっては
 使い勝手の良いサイトが揃ってるじゃないですか。
 でも、バイトに対して能動的じゃない人も結構いると思うんですよね。
 だからやりたい事よりも、やりたくない事が多い人のために作りました」(わんぱく)

おっしゃる通り、ほとんどのサイトが「やりたい事」や「自分に合った条件」を
選択しながらバイトを見つける仕組みになっているのに対し、
「Form B」は「やりたくない事」をクリックすることで条件を絞っていくというスタイル。

「アルバイト」という言葉の周辺にある「気だるい空気感」に
アジャストする設計思想と、「B」に込められた「beat」「bad」「black」という
メッセージを、「ブレイクビーツというダンスミュージックのリズムフィギュアに
乗りながら、要らない情報をガンガン排除していく」という形で、
非常に刹那的に体現している辺りが秀逸。

働く事に意欲的になれない人間は、
これぐらいはっきりお膳立てしないとバイトも選べない。
というブラックなジョークも含め、ちょっと完成度が高すぎる所が難点かもしれない。

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3「チャンネー」(チームお色気)

「ホットペッパービューティー」という美容室検索サイトから、
文字通り、お姉ちゃんの画像だけをストックするアプリ。
mixiのオープンソーシャルとして使用すると、マイミクの
「お気に入りチャンネー画像」が覗けたりもする。

機能としては、これ以上でもこれ以下でもない。
逆にこれ以上を求めると「一風変わったエロサイト」、
あるいは「趣向を凝らした素人画像掲示板」になってしまう
可能性があるので、「美容室のお姉ちゃん」を素材とする
「プレ・エロサイト」としての塩梅を考えると、
「小さいけど消えない、でもバカうけもしない」といった感じにまとまっていた。

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4「puniTouch(プニタッチ)」(チームお色気)

持ち時間の関係で、新進気鋭のラッパーの如き早口でのプレゼン。
これだけでもう充分面白いのに、話している内容が
「おっぱいのアプリ化」について。

驚くべき速さでアプリの説明を行っていたので、
内容はさっぱりわからないんだけど異常におもしろい。
という、立川談志をTVで見ている感覚に近いものを感じた。

聞き取れる範囲で箇条書きにすると…

・おっぱいを体感するためのiPhonアプリ。
・設定項目が約100個。
・これらを頑張り抜くとおっぱいに辿り着く。
・全年齢対象で販売。
・アップルの審査をすり抜けるため、カモフラージュしすぎて売れていない。
・23才の女性デザイナーにこのアプリの発注をした際、
 「良いですよ、おっぱいは正義ですからね!」と快く引き受けてくれた。

この最後の一行、「女性にとっておっぱいが正義である」という
新たな発見が成された以上、私たちは早口のプレゼンに
耳を傾けることを諦めてはいけない。

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5「Itoyanagi 3D」(ハッカーズ・カフェ)

「疲れてくると幻覚がみえるという症状に苛まれて、
 見えない何かと闘っているうちに、気が付いたら警察に捕まって、
 隔離病棟に入れられた」
という過去を持つ、
ハッカーズカフェ・CHO(最高破滅責任者)の糸柳。

この糸柳に「初音○○」のコスプレ(ネクタイとカツラのみ)を施し、
600万円もする最先端3Dプリンターを使ってフィギュア化した
「Itoyanagi 3D」というコンテンツを披露。

「人件費なども含めると1体100万円」のところを、
なんとノーギャラで作らせたという経営手腕に対し、
何よりも糸柳本人が「最初に人を殺すならこれを作った人間」
「股間のモッコリが見えない」
と不満を訴える、といった具合に
完全なる転倒を狙ったが、「そもそも初めからちゃんと
起立している状態だったのか?」
という疑問が残る以上、
転倒したかどうかもわからない。

個人的には「暗黒服」や「自走式サーバー」といった、
過去のコンテンツを紹介した際に沸点が来てしまったので、
あとは熱が冷める思いで眺めてしまった。

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6「たどったー」(中村)

「Twitter」の「つぶやき」を辿ることが出来るタイムリーなアプリ。
「人から人へ発せられたつぶやきを辿っていくとどうなるのか?」をコンセプトに、
言語モードの設定や、最大で100のつぶやきを辿れるなど、
静かに浸透していく可能性を秘めている。

「覗き」という欲望を刺激していくのか、
あるいは奇特なユーザーが「つぶやき」に関する論文を発表するのを待つか。
いずれにせよ、今後に期待したい。

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7「アスキーアートアニメ」(かたむき)

「メモ帳だけで作れる動画サイト」といった触れ込み通り、
アスキーアートでアニメーションが作れる。
効かない人には効かないが、効く人には異常に効く。
もう一捻り欲しいところ。

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8「東海道線すごろく」(小田原幕府)

「桃太郎電鉄」のリアル東海道線バージョン。
東京から京都まで新幹線で約3時間の時代に、
各駅停車を使っての「すごろく」という不親切なルール設定。

この規則とは裏腹に、泊まることも想定して旅館や時刻表、
グルメ情報なんかもアナウンスしてくれる。
ケータイ電話のGPS機能を悪用したバカなアプリの王道を行っている。

「実際にやってみたが、8時間かけてやっと静岡。
 2日かけても名古屋には到達できず。見通しですが、
 ゴールまで5日間はかかると思います」

……というオチまで含めて、完全な奥の細道。
やればやるほどバカをみる、個人的に好感が持てた。

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9「メロゲップ」「メロディっ屁」(コニット)

「ゲップ」と「おなら」で音階が作れて、
みんなで楽しく演奏できる下ネタiPhonアプリ。

「奥行きが足りないのかな?」と一瞬思ったが、
「ゲップ」と「おなら」に奥行きが必要なのか?
という自問自答に秒殺された。

「幼稚園でiPhonが支給される時代」が来たら、
ひょっとしたらバカうけするかもしれない。

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10「―(アプリ名なし)」(テンポ)

「会話に付いていけない」「何となく場違いな感覚」などの
ちょっとした周りとのズレを検出するiPhoneアプリ。

ある地点における正確な時間をNASAからワンクリックで取得し、
移動した距離に応じてその地点からどのくらい時間がズレているかを測る。

相対性理論における「ローレンツ収縮」を駆使している辺り、
非常に知的なバックグラウンドを持ちながら、手に入れられる感情が
「あ~、これぐらいズレてんだったらしょうがないよね~」という不確かな安心感。

忙殺にあえぐ社会人の憩いの場になること必至(ウソ)。

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11「生きているデスクトップ」(ドット・インパクト)

デスクトップに散らばった乱雑なアイコンが、
立ち上げたウィンドウの後ろに隠れていき、いつの間にか綺麗になっていく。

冗談抜きで欲しい人がいっぱいいると思う。

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さて、エントリー作品をご紹介をしてきましたが、前置きなしで裏グランプリの発表です

栄えある裏グランプリ「バカとアプリは使いよう!コレは期待に応えない!!」
見事輝いた作品は…

エントリーNo.1「Rock’n Office」です!

勝因としましては、文化的背景へのフィードバック、
並びに「夢の実現」のつもりが状況の悪化を招いているという倒錯感。
画面という制約にとらわれない、大がかりなプレゼンの割に貧弱な思想。
これらを上手く統合し、見事に期待を裏切ったことがあげら……

……。……。

といった具合に、一人一人が熱意をもって「バカ」の定義に乗り出すと、
非常に楽しめるイベントとなっておりましたので、第3回にご期待ください!

(淺沼匡/ライター)