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「都築響一の世界4~現代アート編~」ライブレポート(09.10/18開催)

2009年11月06日

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「都築響一の世界」第四弾!今回のテーマは「現代アート」です。

大好評シリーズの「都築響一の世界」第四弾。2009年の最後を締めくくる今回のテーマは都築さんの真骨頂ともいえる「現代アート」です。

都築さんは今までに「TOKYO STYLE」「ROADSIDE JAPAN」「賃貸宇宙」「秘宝館」など独自の視点による数多くの写真集を発表してまいりましたが、やはりそれらの作品に登場した家やスポットは、そこに暮らす人々、そこを作った人々の個性が爆発したパワー溢れる物件ばかりであり、都築さんもとくにその点に魅力を感じているそうです。そうした人々の強いパワーこそが「真の現代アートを生み出す」とのことです。そしてそのパワーの源は、信仰心であったり、収集欲であったり、「エロ」であったり・・・。

さあ「都築響一流 現代アートの世界」の始まりです!

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タイのお寺の地獄ジオラマにて。都築さん馴染みすぎ。

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ガイコツが笑いながら自転車を全力疾走!
都築「飲酒運転はやめましょう、という教訓を表現しています」テリー「・・・・・」

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お賽銭を入れるとガイコツが立ち上がって、グワ~~ッ!!
テリー「お・・・、お寺でしたよね?」都築「そうですよ」

世界中を取材されている都築さんですが、とくにはまっているのが「タイ」だそうで、敬虔な仏教徒の国であるタイはその熱い信仰心から、様々な信仰のスタイル、表現を生み出しています。

中でもスゴイのが地獄の様子を等身大のコンクリート人形などで表現した立体ジオラマ!南国の光の中繰り広げられる、広大な境内を埋め尽くす地獄!地獄!地獄!果てしなく続く地獄の風景~~!古来よりの仏教説話に基づくものから、さらに時流にあわせた「現代版オリジナル地獄」の数々も展開され、なんとお賽銭を入れると動いたり、歌ったり、踊ったりするギミックまで!きちんと小銭を両替してくれるオバちゃんまでいるとか・・・。これらの地獄の数々は、信者さんが自ら作ったり、左官屋さんに注文したりして奉納したもので、その人々の数だけ様々なバリエーションの地獄が生まれているのです。
そしてこのような場所は一箇所だけでなく、タイの各地に無数存在し、どこも行く度に拡張されているそうで、いつもその民衆の信仰が生み出すパワーに驚かされるそうですよ。

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「喜」をひたすら集め続けて作った魂のこもった灰皿。

現代アートによる再生プロジェクトが行われている瀬戸内海の直島。今年も大竹伸朗さんによるアート銭湯が開館したりと話題ですが、その陰に隠れて直島に一人のスゴい「スクラップアーティスト」がいることを皆さんご存知でしょうか。

それは直島にて文房具屋さんを営まれているオジさんで、今年で80歳になるというそのオジさんのライフワークは新聞や雑誌の切り抜き。しかも心に響いた特定の言葉だけにこだわって収集しているのです!その言葉はというと「喜」「もったいない」など。長年にわたって収集されたその言葉がちりばめられた灰皿や屏風は熱い魂を感じます。ベネッセ美術館のお膝元にこんなスゴイアーティストがいるんです!ちなみに新聞の記事自体はほとんど読んでいないとか・・・。

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これ全部本物のお尻!尻フェチの夢の世界!とってもシュールです。

上の写真はいったい何なんだ~~!?と思われた方、実はこれ「AV」の一コマ。尻フェチの監督が42名の女優を使って撮影した「ケツ社交クラブ」だそうです・・・。しかしこの光景、何ともシュールですよね~。そう、「エロ」も人間の創造力をかきたてる要素の一つなのです!
「古来の絵画だって、女性の裸に魅力を感じた人々がそれをいかに表現するかで様々な作品が生まれた。だからAVだってアートになりうるはず。とくに日本のAVはストーリー性も高く、工夫されている。世界に誇れる文化です!」

とくに都築さん一押しなのはソフト・オン・デマンドよりリリースされている「全裸シリーズ」というもので、いわゆる「絡み」は一切なく、ひたすら全裸の女性がいろんなことに挑戦するというもの。「全裸水泳」「全裸バレエ」「全裸新体操」「全裸オーケストラ」「全裸避難訓練」「全裸和太鼓」などなど。そしてどれも適当な演技なのではなく、きちんとレッスンやレクチャーを受けて挑んだ本格的なもの。それがただ全裸でやっているというだけで・・・。ちなみに後の作品で絡みシーンを加えたら逆に苦情が殺到したとのこと・・・。うーん、奥が深いです。

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山中に一人の男が築いた夢の城。その壮絶な結末とは・・・。

廃墟マニアの方がとある山中を探索中、偶然見つけた廃屋。一見ごく普通の廃屋でしたが、中を覗いてビックリ!そこには無数のグラビアの切り抜きが敷き詰められていたそうです。「山にはなぜかエロ本が落ちている」のが定番ですが、もう尋常な量ではありません。その時は驚いて逃げ帰ったそうです。しかしその後もどうしても気になって再び訪れるようになり、毎回訪ねる度にその切り抜きは新しいものに交換されており、誰かが定期的にここに来ていることが判りました。何度目かの訪問でついにその男性と出会いましたが、お互いに相手を干渉するでもなく、一方は廃墟探索、一方はひたすらチョキチョキとグラビアを切り抜く作業と、そんな不思議な交流が何年も続きました。(都築さんもその頃訪ねたことがあるそうです)
そしてある日のこと、男性は大量の雑誌を持ち込み、自分の車の中でいつものようにひたすらチョキチョキと切り抜き作業をしていたそうですが、廃墟マニアの方が一週間経ってもその車がずっとその場に動かずにあることに気付き、慌てて車内を覗いた時には・・・、彼は大量のグラビアに囲まれて往生していたそうです・・・。

もう二度と彼の話を聞くこともできないので、彼がここで何を想い、何を造りたかったのかはわかりません。ただ彼にとってここはこの世で一番落ち着ける「夢の城」だったのではないでしょうか。切り刻むという行為からは何だか暴力的な匂いを感じてしまいますが、残されたグラビアを見ると、丁寧に切り抜かれたグラビアはアイドルたちの一番のベストショットを集めたかのようで、それらに囲まれたここでのひと時が一番の至福の時間だったのかもしれません。

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都築さん一年間お疲れ様でした!そして来年も「都築響一の世界」をどうぞよろしくお願いいたします!

はたして「アート」とは、「アーティスト」とは、いったい何なのでしょうか。『作品が受賞し、売れて、美術館に収められる』、それが「アート」として認められ、「アーティスト」として認められる、そういうものなんでしょうか。

今回都築さんが紹介された作品とその作者は、そのような流れとは無縁の言わばアウトサイダーの方々ばかりです。きっと作者本人たちもアート作品を作ろう、と思って始めたわけではないでしょう。ただその作品や活動からはひじょうに激しいパワーを感じ、強く訴えかけてくる何かがあるような気がいたします。それは開放された熱い魂の結晶だからでしょうか。「つくりたいっ!」その想いが一番大事で、その想いがあれば世界中の全ての人間が「アーティスト」なのだと思います。
人間一人一人の脳内には無限の世界が広がっています。それをみんなで放出しまくれば、きっと新しいアート、そしてカルチャーが生まれるはずです!

 

「カラオケ」「スナック」「お水ファッション」「現代アート」と4回にわたってお送りしてきた「都築響一の世界」。知られざる現代社会のあらゆる事象に迫り、本当にどれも新たな魅力を発見できた深いイベントとなりました。都築さん一年間ありがとうございました!

そしてまだまだ無限に広がる「都築響一の世界」。
来年の新シリーズもどうぞご期待ください!!

(ライター H.S.)