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博物館めぐりの楽しい魅力を語る夕べ 「ミュージアムめぐりナイト3 」ライブレポート(09.11/21開催)

2009年12月08日

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「ミュージアムめぐりナイト」第三弾!左よりテリーP、博物月報主宰・盛田真史さん、建築家・津村泰範さん。

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今回もたくさんの博物館ファンの皆様にご来場いただき、博物館カルチャートークで盛り上がりました!

大人の好奇心をくすぐるスポットの王道「博物館」。その新たな魅力や楽しみ方を伝えて大好評のトークライブシリーズ「ミュージアムめぐりナイト」の第三弾が開催されました。

今回も「建築に着目した博物館の楽しみ方」や「ぶらり街歩き的な博物スポット体験」などさらに博物館が楽しくなるトークが盛りだくさんです!

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建築家・津村泰範さんによる歴史的建造物の再生・復元プロジェクト。(上)江戸時代の古民家が修築によって甦った「稲荷山宿蔵し館」 (下)詩人・立原道造の意志を継承した「ヒアシンスハウス」

博物月報のレポーターで建築家の津村泰範さんは、文化財保存計画協会の一員として現在全国各地で古民家、近代建築、産業遺産など歴史的建造物の再生プロジェクトに携わっています。

長野県千曲市「稲荷山宿蔵し館」、長野県安曇野市「安曇野高橋節郎記念美術館」など、老朽化した建物自体を修築・保存するのはもちろん、その建物を地域の人々の文化活動や交流の拠点として再活用し、新たな命を吹き込んでいます。

 

さらにさいたま市別所沼公園の「ヒアシンスハウス・風信子荘」復元プロジェクトにも携わっています。

こちらは建築家でもあった詩人・立原道造が週末住宅として設計した建物で、わずか四坪半ながらも設計者のこだわりを感じる空間。なんと50通りものデザインを描いたそうです。学生時代は屋根裏に住んでいたという立原道造、男の子なら誰しも一度は憧れるそんなドキドキ感が詰まっている小さな隠れ家です。
しかし残念ながら24歳の若さでこの世を去り、その建設は実現することはありませんでしたが、没後70年立原道造を愛する人々たちによって「ヒアシンスハウスをつくる会」が結成され、有志の方々による募金活動、そして津村さんも設計者として参加、残されていたデザインを継承し、2004年ついに立原道造が思い描いた空間は現実のものとなりました。

こちらも地域の人々をはじめ、さらには将来建築家を目指す学生たちの活動や交流の場所となっています。若き詩人の夢が現代の若者たちの新たな夢をつなぎます。

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日本の博物館のあけぼの。まずは博覧会の開催から始まりました。なんと名古屋城の金シャチまで出品!

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本格的な近代博物館が次々と開館。名建築家による建物も博物館の大きな見どころです。

続いて博物館の建築をメインに日本の博物館の歴史を見ていきました。欧米では近世より1759年大英博物館、1801年ルーブル美術館、1846年スミソニアン協会設立と、次々と博物館が開館いたしましたが、日本に「博物館」が出来たのはいつのことでしょうか。

以前より「ミュージアムめぐりナイト」で語られているように、日本では珍しいものは神社仏閣に奉納され、そこには古今東西の品々が収蔵されており、これが日本の博物館の原型といえます。東大寺正倉院などはその代表的なものです。

そして本格的な博物館が作られたのは明治時代に入ってから。開国によって世界の国々との交流が始まり、万国博覧会への参加、海外留学派遣などを通じて欧米の博物館文化に触れ、日本でも殖産興業の一環として、まずは明治4年に京都で開催された博覧会を皮切りに次々と全国で博覧会を開催、そして本格的な近代博物館建設へと展開していきました。
公立の博物館としては明治15年帝国博物館(コンドル設計・現存せず)、明治42年東京帝室博物館(片山東熊設計・現東京国立博物館「表慶館」)、私立の博物館として大正7年大倉集古館(伊藤忠太設計)、大正8年名和昆虫博物館(武田五一設計)など次々と開館し、その建物も当時最先端の建築家による重厚な建物ばかりでした。まさに博物館建築の黄金時代。

しかしその展示内容はというと、当時はまだ豪華な箱に納められた宝物といった感じであり、建物重視の時代から次の課題である見せ方重視の時代へと次第にシフトしていくのです。

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東京大学は江戸時代の大名屋敷跡。構内を掘ればお宝がざくざく!

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大学周辺には文化人も多く住んでいました。町中史跡だらけです。

博物月報主宰の盛田真史さんは、今回は「街歩きで楽しむ博物スポット」を紹介してくださいました。

博物館や美術館といった施設だけでなく、町の中にも博物物件はあるというのが盛田さんのモットー。以前の「ミュージアムめぐりナイト」でも公園や神社仏閣での博物物件の楽しみ方を紹介してくださいましたが、今回は「町全体がミュージアム」のスポットを楽しんでみよう、とのことです。

 

今回エリアとして選んだのは本郷、後楽園、小石川周辺。

本郷といえば東京大学がありますが、実は東京大学自体もいろいろと博物物件があるスポット。現在大学がある敷地は、元々は江戸時代の加賀藩邸跡であり、あの有名な赤門も藩邸の門として使われていたもの。さらには弥生式土器の最初の発見地でもあり、付近の町名である「弥生町」から命名されたそうです。(歌舞伎町からだったら、歌舞伎式土器になっていた!?)

また大学周辺も近現代の博物スポットがいっぱい。なぜなら多くの文化人が大学講師や学生としてこの町に住んでおり、その関わった場所が次々と「○○さんゆかりの地」となっていくのです。例えば夏目漱石は大学講師として着任し、付近に住んでいましたが、その家の跡地には「夏目漱石旧居跡の碑」が立ち、その家も現在愛知県の博物館明治村に保存されています。しかもその家には以前は森鴎外も住んでいたそうです。明治の二大文豪が住んでいた家とはスゴイ!大学関係者以外にも樋口一葉、石川啄木らも住んでおり、それぞれゆかりの地が残っています。つまり今後も大学やその周辺から文化人が出れば、ゆかりの地は無限にふえていくのです。そのうち町中石碑だらけになっちゃいそう・・・。

その他、日本最古の植物園である「小石川植物園」、東京大学に所蔵されていた品々を公開している「東京大学総合研究博物館小石川分館」などの博物スポットもあります。

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東京湾唯一の無人島猿島。別にサルはいませんが、すごいものが沢山あります。

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歴史を現在に伝える近代化遺産。島全体がミュージアム!

続いて「島全体がミュージアム」の猿島を紹介。

猿島は横須賀沖に浮かぶ東京湾唯一の無人島。最近は長崎の軍艦島が話題になっておりますが、実は猿島も「軍艦島」と呼ばれ、なんとこちらは文字通り軍事要塞として使われていた島なのです。その歴史は幕末の台場から始まり、明治~昭和にかけて重要な軍事要塞となりました。外観はごく普通の自然の島ですが、内部にはレンガ積みの要塞跡が残っており、その歴史を感じさせます。レンガ積みもよく着目すると、日本で一般的なイギリス積み以外にも珍しいフランス積みもあったりして面白いそうです。

さらに今回は知られざるユニークな秘話も紹介。実は戦後一般人も上陸可能となった猿島にレジャーランド建設計画が持ち上がったそうです。それは実現までには至りませんでしたが、ホテル、ゴルフ場、映画館、バー、クラブ、そしてウォーターシュートまで建設予定だったとか。ちょっと見てみたかったかも~。

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お正月といったらやっぱりこれ。七福神めぐりでミュージアムな年始を!

そろそろお正月も近づいてきましたが、お正月はこんな博物スポットはいかがでしょうか。それは「七福神めぐり」です。古社寺をめぐる七福神めぐりも博物物件満載です。

お正月の定番として人気の七福神めぐりは東京23区内だけでも20箇所ほどあり、その中でもとくに歴史のある隅田川七福神、谷中七福神は江戸時代より成立しており、江戸庶民のレジャーとしても人気があったそうです。

ここで盛田さん流の七福神めぐりの楽しみ方は、当時の江戸庶民の気分を味わってみるということ。実際に歩いてみると、二~三時間ほどで巡れる二つの七福神めぐりは、江戸の各所から徒歩で来た人たちにとって丁度手頃なコース配分であることがわかったそうです。追体験の楽しさ、それも七福神めぐりの魅力だそうです。
ちなみに最近成立した新しい七福神めぐりは徒歩では一日で巡るのが大変なロングコースのものが多く、こちらはよく見ると各寺社が公共交通機関沿いに点在しており、時流にともに七福神めぐりのスタイルも変化しつつあるようですよ。

 

今回も新たな視点によるミュージアムの魅力や楽しみ方をいろいろ知ることができました。展示品を見るだけでなく、その博物館の建物自体を見たり、また街中で博物物件を探してみたりと、まさにミュージアムの楽しみ方は無限大ですね!

「ミュージアムめぐりナイト」次回もどうぞお楽しみに!

(ライター H.S.)

 

※「ミュージアムめぐりナイト」の盛田真史さんとH.S.こと「水族館ナイト」の私、坂原弘康の二大ミュージアム系イベントの主催者によるコラボ企画「ウキウキ深海魚ウォッチング」が12月13日(日)に初開催です。詳しくはこちら!