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江戸時代に流行したあまりに興味深い史跡の話『有坂蓉子×大山顕の富士塚ナイト〜ご近所富士山の謎!! 』ライヴレポート(10.3/14開催)

2010年04月04日

「富士塚」とはなにかご存知ですか? これは江戸時代に流行した「富士講」と呼ばれる富士山信仰のシンボル的存在。当時は富士山を直接詣でるのはとても大変なことだったので、富士山を模した富士塚を作り登ることで同じようなご利益を得ようとするもの。今でも300ちかくの富士塚が現存しているそう。

この富士塚にすっかり魅せられた富士塚愛好家の有坂蓉子さんと、「キング・オブ・街ネタ」こと大山顕さんが、江戸時代と現代を行ったり来たりしながら富士塚の素敵さを語り尽くした一夜をレポートします。

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終始熱っぽく富士塚を語る有坂さん。

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終始ほぼ冷静に進行役をつとめる大山さん。

まずは有坂さんから富士塚鑑賞のイントロダクション。古地図・浮世絵からかいま見える富士塚の姿と現在の姿を比較することでわかる富士塚の歴史はとてもエキサイティング!また、ひとくちに富士塚と言ってもそもそもの成り立ちが異なったり、移築を繰り返した結果姿が変わってしまったりと、現在の姿はさまざま。タイプ別に特徴的な富士塚を挙げながら、それぞれの魅力を紹介してゆきました。

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「目黒元々富士は、線路の上に今もある?」なんと、あるんです。

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富士塚からのぞむ、富士山を描いたもの。

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外見から分類する富士塚各種。

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大好評だった「ピグモン富士」。これはかわいい!

大山さんからは「富士塚はそもそも見立ての構造を持っている」ことに基に、街なかのあらゆるものに小さな社を乗せて「富士塚のようにみえるか試してみた」レポートを。一見冗談のように思えるこころみでしたが、会場からは笑い声とともに納得の歓声も。

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お社は、Amazonで購入したペーパークラフトとのこと。

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路面の道標に乗せたこの写真が一番の反響。たしかにそれらしい。

昨年ここお台場を賑わせた実物大のガンダムは「乃村工藝社」が作成したものだったのですが、この会社の社史をひも解いてみると、なんと明治時代浅草に大きな富士山を作っていた事が判明。「実物ではないものを、見立てによって信仰の対象にする」という意味において、ガンダムは現代の富士塚とも呼べるのではないか、という大胆な仮説が提唱されました。びっくり。

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富士山信仰について語る時によく紹介されるこの図版ですが。

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これと同じ会社が作っていたという事実!

「富士塚百景」と題されたコーナーは圧巻。有坂さんがこれまでに巡った富士塚のほぼすべてを紹介しよう!との意気込みでスタートしたはいいものの、ひとつひとつが見どころ満載すぎて一向にページが進まない。予定されたイベント開催時間の2/3が過ぎても、まだ10ちょっと。休憩の間に大きな方針転換がなされ、思うままに語り尽くしながらゆっくりと進んでいきました。

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このすてきな表情!結局紹介できたのは25基だけでした。

休憩を挟んでからはお客さんからのアンケートや質問を中心にしたトーク。とあるビルが富士塚に見える、お団子やさんの庭に富士塚らしきものがある、なにげなく遊びに行っていた公演がじつは富士塚だった…。たくさんの富士塚エピソードに会場は大盛り上がりでした。全員に配られた有坂さんお手製の「富士塚みくじ」、大山さんは「一富士」を引いてがっかり(いちばんいいのは五富士だったそうです)。

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がっかりの図。

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「崩れには行ったけど山頂には行ってない」というTAKANEさん。

客席には、昨年末の「ダムナイト3」で崩壊地をとりあげたダム日和のTAKANEさんもいらしていて、日本三大「崩れ」のひとつである富士山大沢崩れを訪れた時の話をされていました。この「大沢崩れ」、実は富士塚の必須アイテムのひとつなのです。

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すべり台のように見えるのが「大沢崩れ」。

最後に、有坂さんがこんなにも富士塚に夢中になったきっかけを伺いました。10年ほど前海外に住んでいた年の瀬、日本人同士で「初詣に行きたいねえ」という話になったいいけれど当然神社が近くにあるわけもなく。後日割りばしで鳥居を作って「なんちゃって初詣」をしたことがたいへんつよく印象に残っていて、帰国後改めて富士塚の来歴を知った時に「昔のひとが自分たちと同じことをしている」ことに気づいたのだそう。とてもすてきなお話で、冒頭に「富士山より富士塚が好き!」とおっしゃっていたのもうなずけます。

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有坂さんお手製の富士山(おみくじ箱)。

それにしても、移築されたり、かたちを変えたりしながらも、江戸時代から残る素朴な信仰の名残がご近所にたくさん残っているという事実に驚かされました。今回は全体の四分の一しか紹介しきれなかった富士塚百景、また続きを見られる機会を楽しみに待ちたいと思います。

(ライブレポート・アオキエリ / EXHIVISION