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毎日同じ時間に写真を撮るとなにが見える?超画期的ワークショップ!『大山顕の二ヶ月間ですごい写真を撮るワークショップvol.2』ライブレポート(10.5/16開催)

2010年06月05日

「いい写真」ってなに?「自分だけの写真」ってなに?

団地やジャンクションを始め、街じゅうのあらゆる「人々がいつも目にしているのに見ていない」ものを撮りつづけている大山顕さんによるフォトワークショッ プ、三ヶ月連続講座の第二回目です。前回から引き続いての参加者は、それぞれ宿題を持っての集合です。参加メンバーが少数精鋭のためいつもと違うレイアウトのカルカルは、さながら事業仕分けといった風。うん、大山さん、白い服着てるしな。

Kenworkshop0516_02シンスケ店長もツッコミ役として登場。

冒頭に、大山さんのすきな写真集の話を。いわゆる工業的/土木的な風景を集めたものや、ひとつの撮影対象にこだわって撮りつづけているもの、ふだん目にしているけれど人々が注意をはらわないもの(そう、第一回のワークショップのテーマと同じ!)などを紹介。

面白かったのは、いわゆる「○○マニア」のひとを一番困らせるのは「○○ってなんですか?」という問いだ、という話。たくさん撮り続けると、そのものがいったいなんだかわからなくなってしまうらしい(そう、第一回のワークショップでまち歩きをした後の感じと同じ!)。ベッヒャーが溶鉱炉をひたすら撮り続けた写真集の前文には、溶鉱炉の定義が端的に書いてあるだけだそう。ちょうクール!

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「再撮影調査プロジェクト」

最後に紹介されたのは「1860年代に撮られた写真と同じ場所・同じ画角で、100年後にもういちど撮影をする」というプロジェクト。きちんと考えて撮影された1枚目に比べて、2枚目はややすっとんきょうな写真が多い。画面の真ん中に木がそびえていたり、全体的にアンバランスだったり。これは「100年前と同じ場所で撮る」ことで「自分で構図を決めて撮る」という意図をすっかりはぶいた写真ということ。それでも二枚を比較すると非常に面白い、というお話でした。

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今回紹介された写真集たち。

さて、それでは「自分の意思とかんけいなく」撮った写真はどんなものなのでしょうか?ここで前回の宿題のおさらい。

「自分の意志と関係なく、毎日同じ時間に写真を撮る」こと。1995年製作の「SMOKE」という映画の一コマを取り上げながら(あるタバコ屋の店員は、 毎日同じ時間に同じアングルで写真を撮りつづけている。その数なんと4000枚!)、自分の好きな時間に写真を撮りつづけることをやってみよう、というものでした。現在Twitter上で #shoot1230 という企画がおこなわれているので、それに便乗するもよし、都合のいい時間にするもよし。

例によって大山さんと撮影者がおしゃべりしながら、自分の写真を紹介していくというスタイル。持ち時間終了を知らせるタイマーが鳴るのもなんのその、それぞれに意見を言ったり感想を述べたり終始にぎやかに進行していきました。

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事業仕分けスタイルのカルカルレイアウト。新鮮。

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前回花ばかりをとって「破門だ!」と言われた彼、今回もやっぱり花を撮ってた。すごい。

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勤め先のエレベーターホールから「こっそり」撮ってみたり。

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お年寄りが体操してる通勤途中の公園を毎日撮ったり(雨の日はいない)。

この日の課題をオンラインで公開している人一覧(ご参加の方でオンラインに公開している方はどうぞ連絡を!)

いやこれが想像以上のおもしろさ!被写体のおもしろさはもちろんのこと、それぞれの参加者の「写真を撮る」という行為に対する感覚の違いや、妙なものを撮った時の言い訳ぶり、決まった時間に撮れなかった時の言い訳ぶり、お酒ばっかり飲んでると指摘された時の言い訳ぶり…。結果的に、どうしようもなく「その人らしさ」が滲み出るプレゼンでした。「意図を除外する」ための試みが、まったく逆の意味を生み出したことに驚かされるばかり。

例えば、自分で決めた撮影時間に対するルールひとつとっても、

  • ・ぜったいその時間に撮る。撮れなかったらあきらめる。
  • ・だいたいそれくらいの時間に撮ればよしとする。
  • ・10分くらいの幅を持って何枚か撮って、いいものを一枚選ぶ。
  • ・毎日一度帰宅してから、撮影のためにカメラを持って散歩に出かける(!)
  • ・昨日の夜に撮りわすれたから、翌朝一枚撮っておく(!!)

みんな自由すぎる…。ただ、この違いが「写真を撮る」ことに対する感覚の違いなんだろうと思うと、とても興味深いのです。「つまらないものは撮りたくない」と言っていた方もいらしたし。「とりあえず目の前のものを撮ってた」人も、昼休みとはいえ職場内では撮りにくいとか、自分の部屋の全体は撮りたくない、とか。この「ためらい」も写真について考える時にポイントになるのかと思いました。

さて、次回の宿題はさらに難解なテーマです。


「ほかのひとになりきって、毎日一枚写真を撮ること」

ペアはこの日の席順で決定。これまでのワークショップを通して見知ったこと、たがいに簡単なプロフィールを交換して知ったことを基に、自分ではなく「その人」になりきって日々を過ごし、写真を撮ること。そして、次回のワークショップでは、パートナーが撮った写真を「さも自分が撮った風に」プレゼンすること。

はたしてどんな内容になるのでしょうか。大山さんはこの日のワークショップがはじまる前に「自分が内容を一切把握できてないので、これまでやったイベントの中で一番不安」とおっしゃってましたが、次回は大山さんはもちろん、参加者の誰ひとりとして、自分が何を話すのか、どういう内容になるのかわからないワークショップになるはず。不安もあり、楽しみでもあります。乞うご期待!

 

(ライブレポート・アオキエリ / EXHIVISION