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『震災後のお金の救急ナイト』ライブレポート:お金を知って、自分を知ろう!リスクを知って危機に立ち向かえ!WBSも注目の120分!(11.5/2開催)

2011年06月16日

きっかけは、3.11

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3月11日以前と以後、あなたの周りで、もしくはあなた自身、
何かが変わったでしょうか?

そう問われたら、あなたはどう答えますか?

変わらないという人もいるかもしれません。しかし、決して少なくない日本人にとって、
従来の価値観や生活基盤が大きく変化するきっかけになる、そんな日だったように思います。

生活に対する価値観、仕事に対する価値観、家族に対する価値観……

そして、自分たちの生活とは切っても切り離せない「お金」に対する価値観。

地震を機に、自分たちの生活が、非常に脆い基盤の上に成り立っていることを
悟った人も多いと思います。そして、被災地に多額の義援金が寄せられ、
地震保険がおり、増税の可能性が色濃くなってくる中で、
「お金」に関して、より強く考えるようになった人は多いのではないでしょうか。

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「震災後のお金との付き合い方」を考える。そんなテーマで開催された
「震災後のお金の救急ナイト」ではたくさんの個人投資家たちが集まり、
真剣にパネラーのトークに耳を傾けていました。

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テレビ東京系のビジネスマン御用達番組、WBSこと
「ワールドビジネスサテライト」の取材も入りました。このイベントの注目度の
高さが伺えます。

イベントに参加するのは、インデックス投資ナイトでもおなじみの
内藤忍さん(株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長)
日経マネーより、安原編集長と、羽生祥子さん。
ファイナンシャルプランナーの深野康彦さん、
外資系運用会社駐日代表であり、株式アナリストの宮本泰輝さん。
ユニークなコンテンツファンドで知られるミュージックセキュリティーズ株式会社の
代表取締役、小松真実さん。

司会は、インデックス投資ナイトや、保険見直さナイトなどの
マネー系イベントを取り仕切っている投資ブロガーのえんどうやすゆきさん。

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左が、えんどうやすゆきさん。

非常に豪華かつ、多岐にわたるパネラーでトークが展開されました。

まずは気になる話。ぶっちゃけ、この後、私たちの収入はどうなるの?
税金は上がるの?というお話です。

深野さん「収入がどうなるか、みなさん関心があると思いますが、
     厚生労働省の基礎調査によると、平成六年度にピークをつけ、
     現在は平均で110万円ほど減っています。バブル崩壊の後、
     企業が業績給の導入をはじめた影響です。」

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深野さん

宮本さん「日本の状況が加速度がついたように悪くなると思います。
     消費税か所得税か法人税の増税が、政府の発言をみるときざるをえない状況。
     かつて消費税増税でおきたデフレスパイラルが、更に加速するのではないかと
     思う。増税きたら、内需株の復活も危ういとみている」

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宮本さん

深野さん「増税とともに、社会保障費の引き上げも規定路線だということを
     忘れてはいけない。」

……いきなりヘビーな話題が展開されました。
ただでさえ、少子高齢化で人口減に向かい、膨らむ社会保障費歳出に対する税収の不足が
叫ばれている日本。この震災でその傾向に拍車がかかるだろうというのが
パネリストの予測です。

このような状況についてはメディアも報じているので、
危機感を募らせる人は、増加しているようです。
マネー誌「日経マネー」の編集に携わる羽生さんは、
次のように、震災以降の一般の方の意識の変化を語りました。

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羽生さん「普段投資をしてないような普通の主婦の方が、
     お金の価値観がかわったと言います。たとえば百万円おろして
     家族全員のパスポートを用意したりとか。
     収入、教育、国への不安、社会保障などいろんなものについて、
     一般の人が考えるきっかけになったのではないでしょうか。」

こういう状況になったからこそ、まじめに考える人が増えたということですね。

また、複数のパネリストが、「現状が明らかになったことが収穫」と捉えているのが
非常に興味深い点でした。

日経マネー安原編集長は、地震保険の価値が見直しについてコメントしました。

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「家が流されても、社会保障では三百万円しか保証がされないというのが 
 明らかになったわけです。震災前はそういうことについては知らなかった。
 ほとんどの人は医療保険しか入ってないのが日本の現状ですが、
 まずは災害に備える保険の仕組みを知ることが大事だと思います。」

内藤忍さんは「所有することのリスク」が明らかになったと述べます。

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「家や車など、昔は持つことは富の象徴でした。だけど、今回、
 津波でそれらが流されることで、所有することのリスクが
 明らかになったのではないでしょうか。自宅は、投資として考えると
 家を持つことの満足感くらいしかリターンがないわけです。
 そのように、所有することについて、見直す人が増えるのでは」

日経マネーの編集部では、持ち家志向の強い主婦の方から、
賃貸住宅の価値がわかったという声を聞いたそうです。

「所有することが豊かさ」という価値観は、徐々に変わっているような印象を
個人的には受けてましたが、この震災でより拍車がかかるかもしれませんね。

寄付と投資と「お金」

サッカークラブや酒蔵、レストランなどに投資するユニークなファンドを
作っているミュージックセキュリティの小松さんは、寄付と投資という観点で
震災後のお金の流れについてコメントしました。

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小松さん「もともと日本では寄付文化がないと言われていた。
     そんな日本で、これだけ多くの人が寄付したのは画期的でした。
     自分のお金の影響についても関心が向いている証拠だと思います。」

確かに、欧米では資産家や著名人が多額の寄付をするのは一種の慣わしですが、
日本では一部の人しか寄付をしてこなかった印象があります。
それはキリスト教の文化の有無の影響などと言われてきましたが、
今回の震災では、本当にたくさんの日本人が、義援金を被災地へと送りました。

小松さん「寄付は金銭的リターンを求めない投資の一種だと思っています。
     甚大な被害に対して、なんとかしたいという強い思いがあったから
     お金が動いたんだと感じてます。」

また、寄付に似た特性がある「災害復興支援のためのファンド」がいくつか生まれました。
イベントでは、具体的に2つのプロジェクトが紹介されました。

内藤さん「牡蠣の養殖再開を支援するファンドがはじまりました。一万円投資すると
    牡蠣ができたときに牡蠣を送ってくれるんです。投資として割はあわないけど、
    投資をすることが牡蠣業者とのつながりになる。僕はその場限りで終わりがちな
    寄付だけが必ずしもいいとは思わなくて、2年後、3年後という長期の継続的な
    視点が大事だと思ってます」

また、小松社長のミュージックセキュリティーズ社では、被災地の応援ファンドを
立ち上げたそうです。

小松さん「復興ファンドは、投資金額の半分は寄付、半分は投資となります。
     醤油会社や麺会社など気仙沼の6社と契約しました。いずれも地元では
     有名企業。地場の産業はリレー的産業で1社がやめると他が
     成り立たなくなるんです。だから、みんな必死に続けようとしてる。
     みなさんファイナンスさえできれば事業を続けたいと思ってるが、非常に厳しい。
     しかし雇用を続けたくて事業は続けたいと思われてる。必要な金額も明確で、
     それではと弊社でファンドを組成しました。必要なお金を適切なタイミングで
     与えるのがこの復興支援ファンドです。」

これらのファンドの特長は、復興の様子を、レポートとして出資者に継続的に送ること。
結果的に、中長期的に被災地の復興に関わることができると、内藤さんと小松さんは
語ります。

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小松さん「半分が寄付だから、投資した瞬間にリターンは-50%。金銭的にみると
    投資として割に合わない。だけど、応援したいという人がお金をだしてくれて
    継続的な関係が結べる。そのことが事業者にとっても励みになる。
    お金に気持ちが乗っかってるファンドではないかと考えてます」


日本リスクとは?

今回の震災で、日本に生活するリスクがあらわになったと内藤忍さんは語ります。

内藤さん「今回の震災で、日本リスクとでも言うべきものが顕在化しました。
     つまり、すべてのものが日本に結びつくリスクです。」

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日本リスクとは、日本に生活するリスクのこと。具体的には次のように分類されます。

1:お金)極端に円に偏った貯蓄。投資。
2:仕事)日本人相手に、日本企業で働くリスク。給料も円で払われる。
3:生活)保険、年金のリスク。なぜなら、年金や保険は日本国債に多く投資してるから。
4:教育)日本人同士の協調性を大事にする詰め込み教育を受けてるため
 国際的に陳腐化傾向にある。世界の大学ランキングをみてもランクインするのは
 東大と京大のみ。日本の教育は世界的にみると評価が低い。

外資の金融機関で働く宮本さんからは、日本について非常にシビアな見解が語られました。

宮本さん「私はファンドマネージャーだが、もし20年前に日本株に投資したらどうなったか
     グラフにしたらひどいことになってる。ファンドマネージャーは、日本株中心で
     運用したら、ボーナスがでなくなるんです。」

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宮本さんによれば、日本経済の低調の原因の半分は人口減による内需減にあり、
政策的な問題と、企業の問題がそれぞれ3割くらいあるとのこと。
宮本さんの会社は本社がボストンにあります。つまり、外国のファンドマネージャは
日本を大体こう思ってるということです。

宮本さん「日本のマスコミは日本のいいことしか言わない。
     日本のマスコミだけいてると日本は素晴らしいという幻想をもってしまう。
     けどアメリカのエコノミストみたら日本はがっかりさせるのが得意な国だと
     酷評されてるわけです」

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そのような現実に、私たち日本人はどう立ち向かっていけばいいのでしょうか?

内藤さん「まず、できることとしては、英語を勉強することです。
     英語は、やれば誰でもできます。日本でしか暮らせないという
     カントリーリスクを減らすことです。」

その他、外国株などに資産の一部を振り向けるなどの意見もありました。
可能な限り、リスクを分散することが危機に立ち向かう秘訣のようです。

また、日経マネーのお2人は、危機に立ち向かう上で、
次のような実践的なアドバイスを投げかけました。

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安原編集長「大事なのは不安に拘泥しないこと。震災前から日本には
        ある種の閉塞感がありましたが、震災を機に、何が本当の
        リスクかはっきりしたと思います。
        漠然とでなく、どう生きたらいいのか具体的に考える
        機会が大事なんです。」

羽生さん「あいまいになっているところ、もやもやしたところをリスト化した
     Excelをつくって、家族に見せてみて下さい。
     同居する人と具体的に今の状況を共有することが大事です。」

日本よ、変われ!

内藤さんは、次のように震災について語ります。

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「震災でいろんなことが露わになった。東京電力の件も大企業にとっては
 多かれ少なかれありうることで、誰にとっても他人事にはなりません。
 そういうことに気がつくきっかけになった。
 気づいてから、変われるかが大事です。
 問題がこのままごまかされて終わると変革する機会を失うことになりますから。

 だから、東電の処理がどうなるかは日本の今後を占う。
 日本株買ってみんなで頑張ろうというのも違うと思います。
 ここでだめならやっぱ腐ってるなって日本株全部売るかもしれない。」

証券会社に在籍していて、本来は「株を買って!」と言うべき立場の内藤さん。
この発言は、日本の現状を憂いての、立場を超えた、内藤さんの本気の発言です。
一見過激な発言ですが、日本によくなってほしいし、きっとよくなるはずだという
内藤さんの強い、純粋な想いを感じました。

確かに、色々と不透明な状況は続いていますが、それでも、
日本はこれを機に変わるという、ポジティブな強い想いを
長期的に持ち続けることが大事なのかもしれません。

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3月11日以前と以後、あなたの周りで、もしくはあなた自身、
何かが変わったでしょうか?

もし数年後、そのように問われて、あなたはどう答えることができるでしょうか?

前向きな回答をできる自分でありたい。イベントを通じて、心底そう思いました。

日経マネーの安原編集長の言葉が、全てを表している気がします。

「大事なのは不安に拘泥しないこと。震災前から日本にはある種の閉塞感がありましたが
 震災を機に、何が本当のリスクかはっきりしたと思います。
 漠然とでなく、どう生きたらいいのか具体的に考える機会が大事なんです。」

お金は自分そのものではないけれど、お金のことを考えると、
自分について考えるいいきっかけになる。そう感じる120分間の激論でした。

まずは、自分の状況を知ること。そして、少しずつ整理していくことから、はじめてみませんか?
お金についてもう少し知ることが、その第一歩になるかもしれません。

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(河原あず/東京カルチャーカルチャー)