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佐藤秀峰先生が漫画の未来を熱く語る!「漫画onWebナイト」ライブレポート(11.9/15開催)

2011年10月08日

「海猿」「ブラックジャックによろしく」の漫画家・佐藤秀峰先生が
自ら主催する「漫画onWeb」を引き連れ、カルカルに登場!

漫画を簡単にアップでき、気軽に読むことのできる
新時代の漫画プラットフォームサイト「漫画onWeb」と
それを支える新進気鋭の漫画家たち、
そして、漫画界全体の「いま」を斬るパネルトーク…と、
とても濃密な2時間のライブが繰り広げられました。

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まずは登壇メンバーで、乾杯!
写真左から、イベントプロデューサー小原氏、
「漫画onWeb」スタッフの湯本氏、そして、佐藤秀峰先生。

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最初のコーナーは、ファンのみなさんから寄せられた
「これ描いて!」リクエストに答えていく、「イラ画集」のコーナー。

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最初のリクエストは「ヒヨコ」
「事務所のマッサージチェアに座った姿をトレースしました。」

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おりしもイベント前日が…ということで、「中秋の名月」
街中で肩がぶつかったらちょっと怖そうなお月さまです。

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奥様(!)がモデルとなった「ノートパソコン」

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「イラ」っとくる「画」が信条の「イラ画」(佐藤先生)において、
唯一イラっと描けなかったという、「ベッ○ー」

「○ッキー、好きなんですよねぇ」

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A○B48、センター合戦乃図!!

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よく見ると鎧じゃなくて制服!!

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いっきに会場が温まったところで、続いては
「漫画onWeb」で活躍する注目の漫画家さんたちをご紹介するコーナーへ。

まずは現在、「出来ちゃった安心」を連載中のいたつばさん。
”作り手が見える” トレーサビリティに対する風刺が込められています。

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いたつばさん初期の作品、「真・移動民」
「この頃はコンビで描いてたんですけど、絵柄について賛否両論あって。」
「賛はコンビの相方だけでした。」

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「作品の価格設定って難しくないですか?」と、湯本氏。
漫画onWebで販売されている、もっと安い作品は10円だそう。
「他の作者さんの作品がもっと高く売れてもいいと思うんですよね。」と、いたつばさん。
いたつばさん…。

続いては、「犬は何もくれない」を連載中の、スチームトムさん。
ゴダールの「大人はわかってくれない」をもじったこの作品では、
自身の就活エピソードがベースになっているそう。

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スチームトムさんの「君は餌じゃない」。キリギリスと蛙の出てくるマンガ。
こちらは奥さんとの馴れ初めがモチーフという、斬新な擬人化モノローグ作品。

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「変態侍 人斬り三太夫」。イジめられると濡れる侍。

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「持ち込みの経験はありますか?」との質問に
「○○、○○(レディコミ有名誌)へ持ち込みました」と、スチームトムさん。
「担当者の反応は?」「ちょっとねぇ…。って。」

続いては、「ステーションブルー」を連載中の、みじんコ王国さん。
高校時代に気まずくなったまま別れたクラスメイトと、同窓会で再会する話。

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大阪にある実在の駅名とリンクしている、登場人物たち。

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佐藤先生「みじんコ王国さんは、どこかへ持ち込みしたことあるの?」
みじんコ王国さん「はい、(あそこ)へ…」
佐藤先生「あぁ、(あそこ)ね…」

「パパじょ!」を連載中のば~どさん。女装するパパが主人公!
もともとプロを目指していたば~どさんは、漫画onWebへの参加を機に同人活動を開始。
コミティアにも出展の経験をお持ちだそう。

どうして女装漫画を選んだのか、という質問に対して、
「会社の同僚が女装マンガを持っていて、それで。」

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個性あふれる作品たちの紹介のあとは、本日のメインイベント
「佐藤秀峰自問自答」
自分に対する質問を佐藤先生自ら考え、自ら答えていきます。

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いまはコミック雑誌が売れない時代、と語る佐藤先生。
コミック雑誌全体の売り上げは、1995年にピークを記録していらい
15年間にわたってマイナス成長を続けているのだとか。
コミック雑誌はどの出版社を見ても9割以上が赤字、という現状ながら
「それでも出すのは、作品宣伝のための媒体としての価値を
見出しているからなのではないでしょうか。」

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先行きの見えない紙の雑誌に対し、出版社が出した結論は
「電子書籍」というメディア。
出版社が続々参入を表明するなか、
漫画家側からも電子書籍に対する回答のひとつを提示できれば、
という思いが、佐藤先生にはあったといいます。

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「問屋、取次…と、一冊の本を送るには多くの人手を介さなければいけない。
電子書籍は書き手と読者がいればよくて
極論をいえば間のプロセスが5箇所くらい要らなくなってしまう。
漫画家自身が作品を管理して読者に届ける仕組みがあれば、と思い、
「漫画onWeb」を立ち上げました。」

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「オルタナティブロックという音楽がありますが、
あれはヒットチャートに不満を抱く大学生たちの
独自チャートから流行したものなんですよね。
「オルタナティブ」という言葉は、「○○に替わるもの」という意味だった。
「漫画onWeb」も、世の中で売れているヒット漫画とは別に
漫画好きの人が本当に面白いと思える漫画が集まる
サイトにしたいと思っているんです。」

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絶版となった過去の漫画作品を配信することで話題となった
他社のサービスにも言及する佐藤先生。
「非常に賢い仕組みと思いますが、
これだと新しいものを生み出す仕組みがまだない。
誰も見たことがないものに対して
人ってワクワクってするんじゃないかって思うんですよね。

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漫画の作者と読者を直接つなげるという仕組みのうえでは、
経済の問題も同時に考えていかなければいけません。
原稿料や印税など、漫画家のお金まわりにも話題が及びます。

「原稿料は雑誌の一回あたりの掲載料であって、
制作費を保証するものではないんです。
作品を制作するにあたって人手を雇った場合、
原稿料から自分の生活費までは捻出できない。

よく「印税暮らし」とは言われますが、
その背景はこういうことだったりするのです。」

「2007年の単行本売上が2500億円でした。
定価の10%が印税として作者にわたるので、計算すると250億円。
この年は5300人の漫画家が単行本を出したので、
全印税を1人あたりで割ると450万円。
これだけ見ると、一見印税がおしなべて行き渡っているように見えますが、
実際は格差が大きい。上位100位以下の平均は280万円程度なんですね。」

アスリートや芸能人と違って、漫画家は人を使う経営者なわけです。
お金がないと次の年までやりくりするのはつらい。
漫画家って借金ができないんです。
僕だって、印税で稼いでいてもマンションのローンは組めませんでしたからね。

漫画家は個人でやっているイメージがあるけど、
実際は何人もの人を雇って作っていて、一般企業ほどお金が回らない。

結局個人規模のことしかできなくなっちゃう。
漫画って事業だけど、それだと仕事として夢がなくなるでしょ。」

漫画家が子供にとって憧れの職業であってほしいんです。
好きなマンガがいっぱいかけて、好きなことして生活していると
思ってもらえるようであってほしい。

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夢を作っていく仕事、漫画家。
しかし仕事として漫画家をしていくためには、厳しい側面が少なくありません。
それでもなお、「漫画家として夢を広げていきたい」と語る
佐藤先生の眼光が印象的でした。

おしまいに、会場のリクエストに向けて直筆のイラストを披露。

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タイトルは「Twitterの鳥」

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トークライブ終了後は、集まったファンのみなさんへのサイン&握手会。

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漫画家と読み手の熱いコミュニケーションは、遅くまで続きました。

漫画 on Web
http://mangaonweb.com/welcome.do

(ライター・天谷窓大