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最強の(ほぼ)ティーンバンドによる圧巻のアクト&自然体インタビュー!いまどきの若者のリアルな「けいおん」事情に迫る「A kids these days! Night~(ほぼ)10代バンドがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!~」ライブレポート(2012/5/12開催)

2012年05月30日

2012年5月12日、お台場 TOKYO CULTURE CULTUREで、「A kids these days! Night~(ほぼ)10代バンドがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!~」が開催された。

 このイベントは、高校軽音部バンドら、10代のインディ・アマチュアバンドを追ったインディマガジン「kids these days!」の第2号の刊行を記念したイベント。いまどきの若者にとってのバンドとは? 音楽とは? 最強ティーンバンドたちのライブと濃密トークを織り交ぜ、同誌で取材した(ほぼ)10代バンドのライブと、公開インタビューにより、彼らがマイクロフォンを握り、ギターを担ぐ理由、いまどきの若者の横顔に迫った。

 夕闇迫るお台場 TOKYO CULTURE CULTUREでイベントは開演。「kids these days!」発行人である成松哲氏の司会により、早速最初のバンドの演奏が始まった。

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Victory

 最初のバンドは「Victory」。佐賀の女子高生バンドである。Victoryは、まさに10代バンドらしく初々しい演奏を見せる。カヴァー曲、さらには会場で CDも販売しているオリジナル曲も披露する Victory。高校生バンドではあるが、そのキャリアは伊達ではない。小学生時代から活動を続けている彼女らは、高校生アマチュアバンドの祭典「ティーンズロック・イン・ひたちなか2011」でチャンピオンを獲得、その流れから ROCK IN JAPAN FESTIVALにも出演している。演奏にはしっかりとしたグルーヴで、長年の活動経験が感じられると同時に、これからの成長も同時に感じさせる。東京でのライブは初めてだったという彼女たち。ステージ上の彼女たちも観客も思わず微笑んでしまう楽しいステージで、多くの人があたたかな気持ちになったに違いない。

 ライブが終わると、ステージはトークセッティングに変更され、公開生質問状態で、メンバーへのインタビューが行われた。会場に詰めかけた満員の観客も興味津々である。インタビュアーは、TOKYO CULTURE CULTUREでの「公開デモ評議委員会」でお馴染み、EMI MUSIC JAPANの”発掘王”、重鎮プロデューサー・加茂啓太郎氏と、アニメ音楽誌「リスアニ!」編集スタッフでもあるライター・大山くまお氏である。

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 いわゆる「プロ」の視点でどんな辛口な質問が飛び出すのか、と見守っていると、大山氏が一言。「厳しくバシッと言った方がいいのかなとも思っていましたが・・・」

「楽しくてどうでもよくなっちゃいました!」

 として始まった公開インタビューはとても和やかな雰囲気で進む。加茂氏から「バンドとしてはこれからどういう風に見せたいですか? アイドル的なものでも大丈夫?」と専門的な質問も飛び交い、「できれば・・・アーティストとして・・・そんな風になれたら・・・」と遠慮がちに応える彼女ら。これだけステージ、会場ともに和やかな、にこやかな雰囲気を作れるのも彼女らの現在の強みでもあろう。そして彼女らの無限の可能性を感じることのできたライブ、そしてインタビューであった。

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ミケトロイズ ※写真ブレてごめんなさい…

 続いて登場するバンドは「ミケトロイズ」。下北沢を中心として活動している女性バンドとしては珍しい 3ピースバンドである。高校の軽音部で結成し、東京都高等学校軽音楽コンテスト準グランプリを受賞、卒業後も活動を続けている彼女たち。その音楽性とステージングは特異である。さまざまなものを鋭く切り裂く歌詞とパワフルな演奏、セリフを合わせたステージングと、会場はあっという間にミケトロイズの世界に早変わりしていた。さまざまな要素をしっかりと作りこみ、ステージでやりきるその姿は見事であった。

 ライブ後のインタビューでは、とにかくスパルタでつらかったという軽音楽部時代の話が印象的であった。「それほどつらかったのに、やめなかったのはなぜ?」と質問が出ると、「3人でやるのが楽しかったからかな・・・その時の反動でこうなってるのかも(笑)」との答えが。今後も、その独自の世界を貫いて行って欲しいと思う。

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挫・人間

 ほぼ10代バンド 2組、すべて女性という進行だったが、最後のバンドは強烈な個性を放つ「挫・人間」。「閃光ライオット2009」で審査員特別賞を受賞、Vo.下川は OKAMOTO’Sのアルバムにも参加している。そのステージは圧巻であった。リズム隊が作り出すガッチリとしたビートに、Vo.下川の不条理かつ独自な詩とシャウトが重なり合い、圧倒的な迫力とメッセージがステージから放たれていた。荒削りではあったが、それも彼らの魅力ともとれるようなステージングで、彼らから放たれる「気」とメッセージは、確実に会場に届いていたと思う。

 インタビューでは、「バンドを始めようと思ったきっかけは?」という質問に、「モテたかった。モテると思った。でも全くモテなかった」と答え、会場の笑いを誘った。しかし、そこにも真理はある。元MEGADETHのマーティ・フリードマン氏曰く、「アメリカのミュージシャンは 99.9%モテたいから音楽を始めた」(真偽不明)とのこと。

 今回出演したほぼ10代バンドの 3組。どのバンドにも、これから先の無限の可能性を感じる若さ、初期衝動、輝きを感じた。もちろん、初期衝動だけで音楽を続けていくことは難しい。ただし、強い初期衝動がなければ、それから先に起こるつらい局面を乗り越えることはできない。若いバンドには、それだけ強い思いを持っていて欲しい。

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出演者で記念撮影!

 インディの音楽シーン、若いバンド、そこに目を向ける人たち、TOKYO CULTURECULTURE。それらが複雑に絡まりあい、このイベントが生み出された。このシーンは決して大きいものではないかもしれない。しかしこのシーンには独特な熱気と思いが溢れ、その魅力には無限の可能性を秘めている。その熱気と思いが、これからの音楽シーンに続々と登場することを願っている。まさに「音楽でつながる、夢を叶える。」を具現化した一夜であった。

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(Text: メタル課長/MROCKS9

【出演バンド】

「Victory」
 07年、それまで小学校時代の教諭の指導のもと、楽器を練習していた佐賀県唐津市内の小学校の同級生が、唐津ジュニア音楽祭出場を機に結成。11年、ティーンズロック イン ひたちなか2011で文部科学大臣賞を受賞し、同年、ROCKIN JAPAN FESTIVAL 2011に出演。11年11月、3曲入りCD「虹」リリース。

「ミケトロイズ」
 07年、東京都立第一商業高校入学と同時に、同校軽音楽部にて結成。09年「あと9分寝かせて」で東京都高等学校軽音楽コンテスト準グランプリに輝く。10年3月の高校卒業後は新宿、下北沢のライブハウスを中心に活動を展開する。

「挫・人間」
 05年、ボーカル・下川諒とドラム・吉田拓磨を中心に熊本で結成。09年8月、閃光ライオット09決勝大会にて「土曜日の俺はちょっと違う」で特別審査員賞=夏未エレナ賞を受賞。10年4月、上京。ズボンズとイベント「月巻ズボン人間」を共催し、OKAMOTO’Sのアルバム『欲望』に下川が参加するなど、精力的に活動を展開。11年7月、アルバム『人類のすべて』リリース。

【インタビュアー】

加茂啓太郎
 EMI Music Japanの新人発掘セクションのチーフで ウルフルズ、氣志團、SUPER BUTTER DOG、ナンバーガール、フジファブリック、BaseBallBear 相対性理論、等々を育て上げ、数々のヒット曲を世に送りだした音楽業界のカリスマプロデューサー“発掘王”EMIミュージック・ジャパン新人開発セクションチーフ・プロデューサー。東京カルチャーカルチャーなどで発掘オーディションイベント「公開デモ評議委員会」を開催している。

EMI Great Hunting オフィシャルサイト
http://www.great-hunting.com/

大山くまお
 フリーライター&編集。1972年生まれ。アニメ音楽誌『リスアニ!』(エムオン・エンタテインメント)編集スタッフ。他に共著『バンド臨終図巻』、『アニメーション監督 出崎統の世界』(いずれも河出書房新社)など。3年ぶりの単著『平成の名言200 勇気がもらえるあの人の言葉』(宝島SUGOI文庫)が5月10日に発売される。

【企画・司会】

成松哲
 1974年01月16日生まれ、38歳。 大分県出身。 現在は東京都を拠点に、フリーライター・インタビュー芸者として活動中。 「日経エンタテインメント!」「サイゾー」「週刊プレイボーイ」などに寄稿。著書に『凶暴両親』(ソフトバンク新書)、『バンド臨終図巻』(共著。河出書房新社)など。「研究テーマは、子どもとコンテンツの関わり」なんて書くとカッコいいものの、毎秋、近所の高校の文化祭に行き倒し、軽音部のコピーバンドのセットリストを作って、気になるバンドにインタビューしたミニコミ「kids these days!」を刊行してみたり、中学生に愛読書を書評してもらってみたりしております。