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テレビでは絶対に観られない!ニュートリノ実験で話題!『金髪の物理学者・多田将の「すごい授業」シリーズ vol.3 ~宇宙と暗黒物質~』ライブレポート(12.6/30開催)

2012年08月06日

カルカルの超人気イベント!金髪・ギャル語の物理学者
多田将の「すごい授業」シリーズの第3弾が開催されました!

「宇宙」をテーマに、第1回目は「ブラックホール」、
第2回目は「ビッグバン」についての授業が行われてきましたが、
今回はダークマタ―(暗黒物質)にアプローチ!

「宇宙論」、「素粒子物理学」などと聞くと
複雑な数式を思い浮かべて学習を始める前から
ウンザリしてしまう人も多いかと思いますが、
ショウさまの”すごい授業”なら大丈夫!!

数式は殆ど使わずに宇宙で起こっている現象の”本質”を
これ以上ないぐらい分かりやすく丁寧に教えてくれます。

もし、アナタが宇宙に少しでも興味を持っているのなら
「難しそう」「複雑そう」という思い込みを全て捨て去って
ショウさまと一緒に「宇宙の謎」に触れてみませんか…?

==========

金髪・ギャル語の物理学者、ショウさまこと多田将さん!
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この風貌からは想像もつきませんが、
日本屈指の物理学者!専門分野は素粒子物理学。

京都大学大学院理学研究科修了(理博)後、
京都大学化学研究所非常勤講師を経て、現在は
高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所助教。

司会進行役と言うよりステージ上の受講生!テリー植田さん(※)
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(※東京カルチャーカルチャープロデューサー)

”すごい授業”がスタート!今回は「暗黒物質」を学びます!
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≪ライターより≫

前半部分は暗黒物質の本質に関わる内容なので
論理的飛躍のないように比較的詳しくショウさまの授業を紹介しています。
逆に後半(暗黒物質の正体の探索)は割と大雑把にまとめています。

ショウ様の宇宙シリーズは全4回(今回は第3回目)の予定で
それらをまとめた本の出版も計画されているらしいので
詳しく知りたい方は将来そちらで学習して頂ければと思います。
ユーストリームのアーカイブもありますのでご活用ください。

【基礎事項の復習】

暗黒物質について触れる前に、
暗黒物質を理解する為に必要な知識のおさらいから始まりました。
(ショウさまは必要な予備知識は全て事前に解説してくれます)

ショウさま
「前回(ビッグバン理論)、こんな話をしました。
空はなぜ落ちてこないの?星はなぜ落ちてこないの?」

みなさん、答えられますか…?

かのニュートンさんが答えてくれました!
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ニュートン卿 曰く
「簡単に言うと、動いているからです!」

/*— 人物解説 —*/
【アイザック・ニュートン】
ケプラーの法則を基に運動の法則を確立。

/*—————*/

地球の上空にあるスペース・コロニーを考えましょう!
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スペース・コロニーには重力が働いているので
運動を止めてしまったら最後、地球に落ちてしまいます。

スペース・コロニーは地球の周りを運動しており、
その運動によって重力とうまく釣り合っているために
落下することなく地球の上空に存在できるというワケです。

つまり!

重力と運動は表裏一体である!

ショウさま
「まず、このことをシッカリ覚えておいてくださいね!」

もう、1つ復習。

「ケプラーの法則」について!
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太陽の周りの回っている惑星はスライドの図にあるように
楕円軌道を描いて運動しています。(第1法則)
(この運動を止めたら太陽に向かって落ちてしまうのは分かりますね?)

また、惑星の公転運動において面積速度は一定(第2法則)であるから

惑星の運動は太陽の近くでは速くなり、遠くでは遅くなります。

ショウさま
「フィギュアスケートで腕を縮めた方(回転半径:小)が、
腕を広げた場合(回転半径:大)よりも速く回転できるのと同じです!」

なるほど。

【暗黒物質とは…?】

必要な復習を終えたところで、なぜ「暗黒物質」というモノが
物理の世界で語られるようになったかについての説明が始まりました。

>›まず太陽系の惑星の回転速度を考える

下のスライドの図のように真ん中に太陽[E:sun]があって
赤●緑●青●の惑星が公転しているとします。

惑星の回転速度を考える
120630_sho_dm_030

ここで今回の唯一の式が登場。

太陽系の質量は殆どが中心(つまり太陽)に集中しているので、
惑星の公転速度は中心(太陽)からの距離の1/2乗に反比例する。

v^2 = GM/r …(1)

テリーさん
「えっと、この式が理解できなくてもこの先、大丈夫ですか…?」

ショウさま
「全然大丈夫ですよ!それに式が出てくるのもココだけです!」

この式が言っていることは
「太陽からの距離と、太陽の質量、それと重力定数が分かれば
太陽系の惑星の公転の速さが計算できますよ!」というコト。

とりあえずは「太陽に近いほど回転速度が速い!」ということさえ
知っておけば(1)式の意味は分からなくても大丈夫です。

>>次に銀河系の回転運動を考える

先ほどは太陽系でしたが今度は銀河系で考えます。
銀河を横から見るとかんざしのようなシルエットをしています。

銀河の構造(写真はアンドロメダ銀河)
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真ん中の膨らんでいる部分は星がいっぱい集まっていて
白く明るく光って見えます。ここをバルジと呼ぶそうです。

それに対して、周囲に円盤状に広がる光の薄い部分は
星があまり存在していない場所でありディスクと呼ぶ…。

光の明るさからの星の数を計算することができるのですが、
銀河においてはバルジに殆どの星が集っていることが分かっています。

星1つ1つは大きな質量を持つので
銀河の中心=バルジは非常に大きな重さを持っており、
ディスク上の星は回転を止めたらバルジへと落ちてしまいます。
(この辺りの考え方は太陽系のケースと同じです)

ショウさま
「では、バルジを中心としてディスク上の星の動きを考えてみます!」

銀河の回転速度を考える
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先ほどのスライドから太陽がバルジ、
惑星がディスク上の星に置き換わっただけです。

ショウさま
「バルジの周りを星がどのぐらいの速さで動いているかを
実際に計った人がいます!ヴェラ・ルービンさん!」

どのようにして計ったのかというとドップラー効果の応用!
(救急車が近づいてくる時よりも遠ざかっていく時の方が
低い音(低波長側)に聞こえたりする現象)

ショウさま
「波は遠ざかっていく時に波長が低くなる方向へ動きます。

星が遠ざかると光の波長も長波長側にズレる(赤方偏移)ので
これを利用してヴェラさんは測定を行いました。」

さて、銀河の回転速度は?

予想としては太陽系と同じように
中心(バルジ)に近い星は速く、遠い星は遅くなるハズです

太陽系と同じにような結果が得られるはず!!
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ところが…!

結果はバルジからの距離に関わらず一定の速さ!!

なぜ…!?
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ショウさま
「中心から離れても速さが一定だなんて
ニュートン力学から考えたらトンデモないことなんですよね」

ニュートン力学が間違っている…???

ショウさま
「いや、こうは考えられませんか?
我々はバルジには星がたくさん集まっているので
銀河の質量の殆どバルジに集中していると思い込んでいた。
しかし、実はそうではなくて、黒い部分には
光では見えない”星以外の何か”があるのではないか?…と。」


その得体の知れない”何か”が

今回のテーマ=”暗黒物質”!

要するに「何もないと思っていたところに実は何かが詰まっている!」と。
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(斜線の円の部分をハローと呼ぶ。ハローに何かがある!)

この得体の知れない何か(暗黒物質)は
銀河の中だけでなく、より大きな階層(銀河の外側)に行っても
同様に存在しているらしいことが観測されています。

例)銀河団(銀河の集り)の運動に関するツヴィッキーの研究
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当然、目に見えない”何か”があるのではなく
何か別の原因があるのではないかという考え方も出てきますが、
それぞれ理論的な欠陥が指摘されています。

プラズマ宇宙論
固まって星になる以前のガスの状態において
そのガスが電離していてその電磁力で宇宙が動いているのでは?
⇒ビッグバン宇宙論を説明できない

ニュートン力学の修正
宇宙レベルのスケールではニュートン力学が成り立たないのでは?
⇒重力レンズ効果(相対性理論)を説明できない

やはり、目に見えない暗黒物質が存在するとの考え方が、
現代の殆どの物理学者の見解となっているそうです。

/*— 用語解説 —*/
【重力レンズ効果】
重力があると空間が歪んでしまって
光がまっすぐ通らずに曲がってしまう現象
/*—————*/

重力レンズ効果の解説スライド
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(本当はの場所にある星(ここでは太陽)の重力で光が曲がり
観察者からはの位置にあるように見える)

八ップル宇宙望遠鏡ではこの重力レンズ効果を利用して
宇宙の質量分布を明らかにできるとのこと。

その結果(↓)

赤=実際に光っている星 / 青=暗黒物質
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(スライド右図は3Dで表したもの。縦スケールは80億光年)

宇宙に暗黒物質は結構ある!(らしい)

(ここで前半終了)

=====

休憩時間もサインに大忙しのショウさま!
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=====

これより後半の部。

【暗黒物質の量】

暗黒物質はどのくらいあるか?

天体の運動を解析することで
その周辺にどのくらいの質量が充填されているかを計算して
見積もることができるそうですが、それに従って計算すると、
例えば地球の近辺には約500gの暗黒物質が存在しているとのこと!

たった500g…!?

「なんだ。暗黒物質、超少ないじゃん!」と思われるかもしれませんが、
地球のように物質が非常に密になっているところで考えると
暗黒物質は相対的に極々少量しか存在していないように見えますが、
宇宙空間全体で考えると意外とそうでもなくて
宇宙を満たしている平均陽子数は1立法メートル当たり1個。
ハローには1立法メートル当たり陽子30万個分に相当する
”暗黒物質”が含まれているので決して少なくはないと言えます。

【暗黒物質の正体】

ショウさま
「暗黒物質の正体ですが、ぶっちゃけ分かってません!」

確かにあるらしいことは分かっているものの
それが何であるかは今のところ不明なのだそうです。

ショウさま
「だからそれが分かった人がノーベル賞ですね!きっと」

しかし、物理学者が「全く分かりません!」では先に進まないので、
正体であろう候補を推測し、様々な探索実験が行われています。

分かっている特徴としては

・光を出さないこと!
(出しても赤外や電波など弱い電磁波程度)

そういった意味では私たち人間も暗黒物質といえるかもしれません。

地球のような惑星や褐色矮星、中性子星、ブラックホールなど
恒星のように輝くことのない天体を総称してMACHO(※)と呼びますが、
一番シンプルな考え方をすると
「暗黒物質の正体はMACHOなのではないか?」となります。

※MAssive Compact Halo Objecの略

しかし、重力レンズ効果を利用してMACHOを探しても
推定される暗黒物質の質量には全く足りないそうです。

ショウさま
「太陽系だって質量の殆ど全てが太陽の質量ですよね?
惑星をかき集めてもその重さはたかが知れてますから。」

テリーさん「…となると、暗黒物質とは一体何者なんですか!?」
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【暗黒物質の種類と候補】

暗黒物質が存在するとすると
理論上2種類に分けられるそうです。

・HDM…Hot Dark Matter(速く動いている暗黒物質)
・CDM…Cold Dark Matter(動きのない暗黒物質)

HDMの一番の候補はニュートリノ。
ニュートリノは光の次のたくさん存在するので
少しでも質量を持っていたとすると
簡単に宇宙の全質量を説明できるそうです。
(ただ、現在では種々の理由からニュートリノは
暗黒物質ではなさそうとの見解であるらしい)

CDMはほとんど動いていない暗黒物質で、
さらに「重いCDM」「軽いCDM」に分類されるそうです。

そして、その候補として今回の授業では
WINP(※)ニュートラリーノアキシオンが紹介されました。

※Weakly Interacting Massive Particlesの略

・ニュートラリーノ…陽子の30倍以上の重さ
・アキシオン…陽子の1000億分の1と極端に軽い

ショウさまは京都大学時代に
アキシオンに関する研究をしていたとのこと!

さて、このように暗黒物質の正体の候補を推測したら、
「もしそうだとしたらいったい何が起こるのか?」を考え、
それを検出するための実験を行っていきます。
その実験例がいくつか紹介されました。
(本ライブレポートでは実験の解説は割愛します)

実験例の紹介(WINPの探索)
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実験例の紹介(アキシオンの探索)
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(京都大学の実験装置「CARRCK」。
赤矢印のところにいる金髪人はアラサ―時代のショウさま)

【暗黒物質の果たした役割】

ショウさま
「暗黒物質がなかったら今我々が住んでいる
宇宙はなかったと思ってください!」

星がたくさん集まっているところをグレイトウォール、
星のない部分をボイド(大空洞)と呼びますが、
宇宙にはそれらがまだらに分布しています。

電子・陽子だけでは宇宙全体では質量が小さいので
こんな宇宙にはならなかった!…と。

暗黒物質の良いところは反応性はないけれども
質量だけは持っていて重力にだけは関与すること!
陽子の数よりはるかに多いので
星のもとになる陽子を集めて塊を作ることができます。

つまり、

暗黒物質が宇宙空間にまだらに分布することで
銀河の分布もまだらになる!

ところで、最新のシミュレーション(Λ-CDMモデル)によって
宇宙を構成するエネルギーの構成が求められているそうです。

宇宙のエネルギー構成要素について
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/*— コレが宇宙の姿(仮)だ! —*/

・バリオン(通常の物質) …4%
・ホットダークマタ― …1%
・コールドダークマタ― …23%

/*—————————-*/


テリーさん
「あの~、100%に全然足りてませんけど…?」

ショウ様
「そうなんです!そこで考えられたのがですねぇ…」

コレ!(↓)
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(スライドはイメージです:笑)

暗黒エネルギー!!(73%)

結局、この宇宙において
ハッキリと素性が分かっているのは僅か4%のみ!

宇宙のエネルギーの24%
暗黒物質という正体不明のエネルギーであり、
宇宙のエネルギーの73%
暗黒エネルギーという正体不明のエネルギーである

暗黒物質に関しては一応正体の候補が存在し、
いずれ正体が明らかになるだろうと言われていますが、
暗黒エネルギーに関しては
本当に何もかも分かっていない状態
なのだそうです。

飛躍的に進歩したように見える最新の科学によっても
宇宙にはまだまだ沢山の謎があるということみたいです…。

最後に「宇宙項」のお深イイ話!

アインシュタインが構築した一般相対性理論には欠点がありました。
重力は引力だけなので理論に則ればやがて
宇宙は安定せずにやがて一箇所に固まってしまいます。

アインシュタインは「宇宙は安定した状態であるべき」との考えから
”宇宙項”というものを式に書き加え、これを疎力として扱いました。
アインシュタインは後にこれを「人生最大の失敗!」と語り、
宇宙項の考えを撤回したそうです。

しかし、21世紀にまさかの展開…!!
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最近になって「暗黒エネルギーは宇宙項なのではないか?」と
最新の理論において「宇宙項」が再注目されているそうです。

なんと宇宙項、華麗に復活!(アインシュタインも胸熱!)

…というワケで、この授業の結論としては、

ショウさま「まぁ、細かいこと気にしないで生きようぜ!」
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宇宙にはまだまだ謎がいっぱい!

考えたって分からないコトばっかりなのでアレコレ悩むよりも
「その謎を楽しみましょう!」といったところでしょうか。

次回(第4回)予告!テーマは『宇宙創世』!
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次回で宇宙シリーズ(全4回)が完結するそうです。

これは楽しみ…!

==========

【まとめ】

初めてショウさまの”すごい授業”を受けましたが、
語り口が軽快で、時々昭和な(?)ネタも仕込まれていて
トーク自体を楽しみながら物理学のお勉強ができます。

物理と言うとどうしても数式だらけの授業をイメージしてしまいますが、、
ショウさまの授業は図や言葉で現象の本質部分を理解させくれるので、
宇宙や自然の仕組みがスッキリとしたものに感じられました。

さて、次回(第4回)は宇宙シリーズの総決算!

予備知識なしでも分かるように説明してくれますので
まだショウさまの授業を体験していない方は次回は是非お台場へ!

老若男女、文系or理系問わず、
宇宙や物理に興味を持っている皆さんに聞いてほしい授業です。

(ライター・GAMA)